【ベルリン=三井美奈】ドイツ連邦議会(下院)選挙が26日、投開票された。選挙管理委員会の暫定最終結果によると、左派系与党の社会民主党(SPD)がメルケル首相(67)の保守系与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)を僅差で上回り、首位に立った。双方はそれぞれ大連立を解消し、緑の党などと新たな政権樹立を目指すと表明した。
暫定最終結果による得票率は、SPDが25・7%で2017年の前回選挙の21%を5ポイント近く上回った。CDU・CSUは対照的に24・1%となり、前回の33%を約9ポイント下回り、過去最悪の結果となった。双方は13年以降、メルケル政権で大連立を組んでいた。
第3位は緑の党で、14・8%(前回9%)と過去最高の得票率となった。「反移民」を掲げる右派「ドイツのための選択肢」(AfD)は10・3%で、第三党だった前回から支持を減らし第五党に。戦後ドイツの総選挙で、どの党も得票率が30%に達しなかったのは初めて。SPDは206議席、CDU・CSUは196議席、緑の党は118議席を獲得する見通し。
ラシェットCDU党首は26日、「満足できない結果」と敗北を認めた。その上で「保守主導の政権樹立に全力を尽くす」と首相就任に意欲を示した。SPDの首相候補、ショルツ財務相も「多くの有権者がSPDを信任し、ショルツを次の首相にしたがっている」と政権に意欲を示した。
双方はそれぞれ、緑の党、第四党の自由民主党との3派連立で年内に安定過半数を確保したい構え。緑の党、自民党とも党勢伸長を背景に強い立場で交渉に臨むとみられ、政権樹立は難航が予想される。
在任16年のメルケル首相は選挙後の退任を表明しているが、新首相が就任するまでは留任する。