ウィズコロナ経済へ転換点 宣言解除28日決定

緊急事態宣言など全て解除する方針を明日の専門家会議に諮ることを表明する菅義偉首相=27日午後、首相官邸(春名中撮影)
緊急事態宣言など全て解除する方針を明日の専門家会議に諮ることを表明する菅義偉首相=27日午後、首相官邸(春名中撮影)

政府が28日、新型コロナウイルス特別措置法に基づき19都道府県に発令している緊急事態宣言を30日の期限で解除する方針を固め、日本はコロナと共存する「ウィズコロナ」経済への転換点を迎えることとなった。7~9月期は国内総生産(GDP)がマイナス成長になる予測もあるだけに、宣言解除が経済復興につながることへの期待感は大きい。自民党総裁選後の次期政権は、感染者が出る中でも経済にブレーキをかけないための医療体制強化を前提に、疲弊した個人の消費や企業活動を後押しする必要がある。

菅義偉政権は次期政権への〝置き土産〟として、社会経済活動の再開に向けた出口戦略を検討してきた。10月から11月の早い時期に希望者全員のワクチン接種が完了すると想定。接種証明などを活用して11月にも本格的に行動制限を緩和する考えで、今後は宣言下でも旅行や大規模イベント開催を認める。行動制限ありきだった政府のコロナ対策は様変わりしそうだ。

一方、今月末で解除される今回の宣言は7月12日の発令から約2カ月半に及び、飲食店などの営業自粛や酒類提供禁止で個人消費が落ち込んだ。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストの試算では、宣言期間中の経済損失は5兆7千億円に上る。

コロナ禍による部品調達難や半導体不足に伴うサプライチェーン(供給網)の混乱で自動車各社が減産したことも重なり、7~9月期の実質GDP成長率は「前期比年率5%程度のマイナス」(木内氏)とも見込まれる。この通りになれば、3割近いマイナス成長となったコロナ禍拡大直後の昨年4~6月期を除けば、消費税率が10%に引き上げられた令和元年10~12月期(マイナス7・5%)以来の大きさだ。

それだけに10月以降にウィズコロナ経済が実現し、景気回復につながることへの期待は大きい。しかし感染者数が再び増えれば、行動制限の強化に踏み切らざるを得なくなる状況も想定される。新政権にとっては、医療体制強化と個人消費のテコ入れやコロナ禍の長期化に伴う企業の倒産防止などの経済対策を同時並行で進めることが課題となる。(田辺裕晶)