海外コロナ禍の余波、国内市場に 需給逼迫連鎖も

タイやベトナムなど東南アジアでの新型コロナウイルス禍に伴う現地生産の混乱が、日本の消費生活にもじわりと余波を及ぼしている。冷凍食品メーカーではタイ製造の一部商品の日本への供給が滞り、販売地域の見直しなどを迫られる事態が発生。カジュアル衣料品を展開する「ユニクロ」でも一部商品の販売開始が遅れている。このほか住宅設備では需給逼迫(ひっぱく)が企業から企業へ連鎖しており、問題の長期化も懸念されている。

タイでの新型コロナ感染拡大やロックダウンは現地で冷凍から揚げなどを生産している食品メーカーに影響を及ぼしている。

冷凍食品大手のニチレイフーズは、現地自社工場が1週間程度の操業停止を余儀なくされるなどの影響を受け、9月発売の秋の新商品「むねから」は発売エリアを全国から東日本限定へと切り替えた。日本水産も9月の家庭用向け冷凍食品の新商品「大串鶏つくね なんこつ入り」や「さばのみそ煮」の2品を発売延期にした。商品製造に必要な原材料に加え包材調達でも遅れが出ており、2品の発売時期は未定という。

同業の味の素冷凍食品では、「ザ★から揚げ」や「やわらか若鶏から揚げ」など家庭用商品6品と業務用の一部商品について、8月下旬に、取引先へ販売休止の可能性があると連絡した。9月に入り、タイ工場で生産回復に向けた取り組みを進めているが、10月の販売休止は避けられない情勢だ。同社は「タイから商品が届く11月には販売休止が順次解消される見通しだ」としている。

ベトナムの感染拡大に伴うロックダウンの影響を受けているのは、ファーストリテイリング傘下でカジュアル衣料品を展開するユニクロだ。人気ブランド「ユニクロ ユー」では9月17日に予定していた衣料品4品の発売が遅延になった。一時的に稼働を停止・縮小したベトナムの取引先工場の生産分を、他の工場に振り替えるなどして製品の確保を図っている。

また、TOTOでは、温水洗浄便座の部品供給元で生産支障がでたため、9月2日に納品遅れを公表した。この後、競合のLIXIL(リクシル)では温水洗浄便座の関連商品の注文が急増したが、対応しきれず、7日、新規受注での納品遅延を発表した。同社広報は「東南アジアの部品調達を注視しないといけない状況は続いている」と話している。

一方、パナソニックは生産拠点の新設に影響が出ている。新型コロナの感染拡大で関心が高まっている換気関連設備の新工場の稼働準備を進めてきたが、日本からの従業員の出張ができなかったことなどにより、当初の予定より約3カ月遅れの10月13日に稼働するという。(日野稚子)