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寄り添い、善意の種植える「家栽の人」船越英一郎

撮影・桐山弘太
撮影・桐山弘太

植物を愛する変わり者の家庭裁判所判事(裁判官)、桑田義雄と彼を取り巻く人たちを描いたドラマ「家栽の人」が帰ってくる。「オファーをいただいたときは羽化登仙の心もちになった」というほどの原作漫画(毛利甚八作、魚戸おさむ画)ファンで、昨年5月放送の第1弾に続き主人公の桑田を演じる。

平成8年の連載終了後も、折に触れて単行本を読み返してきた。「そのたびに受け取る思いは変わるが、連載が開始された昭和だろうが、平成だろうが、令和だろうが、人の心の本質を描く作品の魅力は変わらない」と熱く語る。原作ファンゆえに「自分が桑田を演じることには戸惑いもあった」と明かすが、第2弾を前に、「その時々にいろいろな思いを重ねてきた原作を体現できるのは、役者冥利に尽きる」との思いに至った。

前作は少年犯罪にスポットを当てたが、今回は離婚とそれに伴う親権問題、少年犯罪、相続問題という3つのテーマが盛り込まれる。「その一つ一つに桑田は静かに寄り添い、決して分かりやすくはないが、手を差し伸べて優しい種を植えていく」。身近な問題を主軸に困難を抱える3世代を丁寧に描いた2時間のドラマで、「誰が見ても必ずどこかに共鳴、共感できるはず。視聴者に善意の種を植えられたら幸せ」と願う。

民放キー局全てで2時間ドラマの主役を務め、「2時間ドラマの帝王」と称される。「2時間ドラマは茶の間で毎日見られる新作映画。2時間の中にサスペンスから、恋愛、ホームドラマまですべてが凝縮されている。日本が世界に誇る文化」とその魅力を解説する。しかし、昨今はドラマの短時間化が進み、映画やドラマの内容をあらかじめ把握する「ネタバレ」は当たり前、映画を短く編集して違法に公開する「ファスト映画」も問題となっている。「欲しい情報だけを得て、それ以外の情緒や人の感情の機微が後回し。ドラマや小説、映画で疑似体験をして心の栄養をもらわないといけない年齢の人たちが、栄養失調になりかけていないか」と危惧する。

ドラマでつむがれる桑田の言葉の中には、自身が感銘を受けた原作の言葉を引用した部分も。「どんな時代にも桑田が寄り添わないといけないことがある。難しい時代だからこそ、できれば世代を超えて家族で見てもらいたい」。視聴者の心に、花は咲くか。(道丸摩耶)

「ドラマスペシャル 家栽の人(第2弾)」は、テレビ朝日、29日(水)午後8時~。

ふなこし・えいいちろう 昭和35年生まれ、神奈川県出身。57年、TBS日曜劇場「父の恋人」でデビュー。平成15年の「火災調査官・紅蓮次郎」シリーズ(テレビ朝日)で2時間ドラマ初主演、翌年までに民放全5局の2時間ドラマに主演する。2時間ドラマシリーズ「外科医 鳩村周五郎」(フジテレビ)、「狩矢警部」(TBS)や、「赤ひげ」(NHK)など多くの連続ドラマで主演を務める。