重大犯罪の抑止や再犯防止に向けた重要な論点の一つに、刑事司法と精神医療の連携不足がある。事件を起こした精神障害者への対処について「医療に丸投げしている」という批判だ。一方、専門部署を設けて連携不足を解消しようと取り組む自治体もある。刑事司法と精神医療の狭間(はざま)を埋めるのに何が必要なのか。
刑事司法と精神医療の連携不足を改善するため制度改革をした自治体がある。群馬県だ。精神障害者を強制入院させる行政処分「措置入院」に関与する専門部署を県に設置し、適正化を図ってきた。全国的に珍しい取り組みで「群馬モデル」とも呼ばれる。改革に携わった群馬県立精神医療センター前院長で顧問の武井満氏は「警察と医療、行政が密接に連携してそれぞれの役割を果たすことで、凶悪事件は防げる」と強調する。