カレーだけがインド料理じゃない スパイスたっぷり「ビリヤニ」の魅力 - 産経ニュース

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カレーだけがインド料理じゃない スパイスたっぷり「ビリヤニ」の魅力

ナンの蓋をナイフで切り開くと、ふっくらと炊けたビリヤニが現れた=東京・南青山の「シターラ」(酒巻俊介撮影)
ナンの蓋をナイフで切り開くと、ふっくらと炊けたビリヤニが現れた=東京・南青山の「シターラ」(酒巻俊介撮影)

カレーだけがインド料理じゃない。インドをはじめ主に南アジア地域で親しまれている「ビリヤニ」は、肉や野菜、スパイスなどをふんだんに使ったエスニックな炊き込みご飯。最近、国内でも提供する店が増え、マニアもいるほどだ。いったいビリヤニとはどんな料理なのか。都内のインド料理店を訪ねた。

ナンが蓋、広がる香り

東京メトロ「表参道駅」(東京都港区)から徒歩約5分のビル地下1階に、インド料理店「シターラ」はある。店内は白を基調としたモダンな雰囲気で、インドの五つ星ホテルで修業を積んだシェフが本格的なインド料理を提供している。

メニューを開くとまず目に入るのが豊富な【カレー】の数々だ。バターチキンなど、10種類以上が並ぶ。ベジタリアン(菜食主義者)向けとノンベジタリアン向けがあり、宗教や思想の多様性に対応していることが分かる。さらにメニューを読み進むと【炊き込みご飯 ビリヤニ】とあり、そこからディナーメニューの「ゴーシュト・ダム・ビリヤニ(ラム肉の炊き込みご飯)」(2300円)を注文した。

テーブルに運ばれてきたビリヤニは、小さな器に入っていて、パイ包みのような形でナンが蓋になっている。店員がナンにナイフを入れて開けると、中からビリヤニが現れ、あたりにスパイスのよい香りがふわっと漂った。口に運ぶと、しっかりとしたスパイスの味わい。ライスは長粒でさっぱりとしているが、スパイスの風味が存分に染みており、そのうまみに驚かされる。

特有のコクのあるラム肉も、ミントの風味をきかせることで味わいがマイルドになり、いくらでも食べられる。さらに野菜やフルーツをヨーグルトであえた付け合わせの「ライタ」をかけると、一転して爽やかな風味になる。

ランチタイムには、大きな寸胴鍋でまとめて作ったチキン・ビリヤニを、平皿盛りで気軽に味わえる。

ビリヤニのおいしさの秘訣(ひけつ)は、多種多様なスパイスの調和。体にもよさそうだ(酒巻俊介撮影)
ビリヤニのおいしさの秘訣(ひけつ)は、多種多様なスパイスの調和。体にもよさそうだ(酒巻俊介撮影)
お祝いでふるまう手の込んだ料理

作り方を厨房(ちゅうぼう)で見せてもらった。ナツメグ、コリアンダー、ガラムマサラ、シナモン、グリーンカルダモンなど、調合するスパイスは10種類以上。料理長のダリプ・シンさんは「ビリヤニは手間がかかる料理だが、スパイスの調合が最も大切だ」と話す。

米にも特徴がある。使用する「バスマティライス」は、細長くパラパラとしたインドの米で、タイ米よりも香りが強い。米を肉やスパイス、フライドオニオンなどの調味料を混ぜたカレーのような「マサラ」と混ぜ、インドのバターである「ギー」で炒める。「米がつぶれないように炒めすぎないようにするのがポイント」(シン料理長)

ダム・ビリヤニの「ダム」とは「蒸す」という意味。「蓋をして蒸すことで、スパイスの香りを閉じ込める」(シン料理長)。炒めた米を器に入れてナンで蓋をし、オーブンで10分ほど蒸し焼きにすれば完成だ。

同店マネジャーで、インド出身のバブナ・ソヘルさんによると、ビリヤニはインドでお祝いの時に食べることが多い料理だという。ムスリムの人々の間では、結婚式など特別なイベントのときにふるまわれるという。その歴史をたどると、ムガル帝国の時代に宮廷料理として発展を遂げた料理という説が有力だ。

地域によっても特色があり、インド南部ではココナツミルクを入れるレシピもあるという。

数年前からは日本でも手軽に食べられるようになった。秋といえば炊き込みご飯がおいしい季節だ。スパイスのきいたインドの炊き込みご飯にはまる人は、さらに増えそうだ。(浅上あゆみ)