書評

『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』

ファンタジー小説「ゲド戦記」シリーズなどを生み出した米国の女性作家が小説執筆の技巧を明快な語り口で紹介している。

人称や語りの視点などを説明した創作論も面白いが、ものを書く全ての人の導きとなる具体的な文章術も読みどころだ。執筆時に大切なのは、自分が書いた言葉の響きを感じ取る「心の耳」。また、単なる雑音にしかならないことも多い形容詞や副詞は慎重に用いる必要があるという。長い文章では「脂肪よりも筋肉が必要」だからだ。ヴァージニア・ウルフらの名作からの文章例も収められ、世界文学の読書案内としても活用できる。(アーシュラ・K・ル=グウィン著、大久保ゆう訳/フィルムアート社・2200円)