消毒料40万円請求も コロナ感染で死亡、葬儀トラブル

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、各地の消費生活センターにコロナ禍の葬儀に関する相談が寄せられている。感染者が死亡した際の葬儀で、通常とは異なる経費が請求され、中には数十万円の消毒料金が発生したケースも。国民生活センターは契約内容の確認など注意を呼びかけている。

「消毒料金として別途40万円を要求された」。今年6月、近畿地方の60代女性から国民生活センターに寄せられた相談だ。

女性の母親は、新型コロナに感染して死亡。感染対策に応じた葬儀が必要となったが、専門の火葬場に空きがなく、通常より一日遅れで遺体が火葬場に運ばれた。その間、遺体を預かっていた葬儀社は消毒料として40万円を女性に請求。後日、女性が役所に確認したところ、火葬場なら1日数千円で遺体を預けられたことが判明したという。

国民生活センターによると、コロナ禍の葬儀に関する相談は昨年4月から寄せられ始め、今年9月15日時点で91件。同センターの担当者は「葬儀をスムーズに進めたいので、契約内容をよく確認せずに支払ってしまうことが多いのかもしれない。支払うと返金などの交渉は一層難航するので注意が必要」と指摘する。

一方、葬儀社団体の関係者は「感染症対策に別途の費用がかかるのはあり得る話だが、何十万円も必要というケースはめったにない」と強調。マスクや手袋、ゴーグルなど感染症対策の備品は必要だが、せいぜい数万円で、微々たる費用のため別途の請求を行わない業者もあるという。

新型コロナに関し、昨年7月に厚生労働省と経済産業省が定めた遺体の搬送や葬儀などに関するガイドラインによると、遺体からの感染リスクは低いとされている。

一般的に新型コロナは飛沫(ひまつ)・接触感染が主で、遺体からは呼吸やせきによる飛沫感染の恐れがなく、注意が必要なのは接触感染。そのため、血液や体液を通さない「非透過性納体袋」で適切に収容されていれば、「遺体からの感染リスクは極めて低い」という。

医療従事者が遺体を非透過性納体袋に収容した後に、葬儀社側が納棺や遺体搬送に当たることが一般的で、ガイドラインでは、袋が密閉され破損がなく、適切に扱われていれば、遺体への特別な感染症対策は不要としている。

葬儀の会場では3密回避などが求められるが、葬儀社団体の関係者は「他の式典での対策と同様で、さらに特別な処置が必要なケースはめったにない」と説明。国民生活センターの担当者も「感染症対策も大事な側面で、請求額が妥当かどうかについてはケース・バイ・ケースな面もある。契約前に見積書など内容を確認することがトラブルの防止につながる」としている。(永井大輔)