総裁選 政策を競う

原発・核燃サイクル、河野氏のみ否定 再稼働は全員容認

自民党総裁選(29日投開票)では原発政策が主要争点となっている。その理由の一つは「脱原発」が持論の河野太郎ワクチン担当相が有力候補と目されているからだ。

「違います! 違います!」

河野氏は10日の日本テレビ番組で「脱原発」の旗を降ろしたのかと問われると声を荒らげた。

河野氏は平成24年に超党派議員連盟「原発ゼロの会」を設立するなど党内きっての「脱原発」派と目されてきた。しかし、出馬表明後の河野氏は「安全が確認された原発を当面は再稼働していく」と説明している。2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを目指す上で二酸化炭素(CO2)を排出しない原発が必要となる。原発の運転年限は最大60年と定められており、新増設しなければ自然に「原発ゼロ」になるというのが河野氏の主張だ。

これが一部で「変節」と受け止められたことに、河野氏はいらだちを強めた。10日のTBS番組では「ずーっとブログにいろんな思いを書いているが、全く変わっていない。それを読んでいない方がトーンダウンしたんじゃないかとおっしゃる」と語気を強めた。

各候補とも再稼働を容認する点で一致してはいる。だが、河野氏の主張通りに進めれば、再稼働はおぼつかないと批判するのが岸田文雄前政調会長だ。

「原発再稼働を認めたが、核燃料サイクルを止めるとおっしゃった。これは両立するものなのか」

岸田氏は18日に行われた日本記者クラブ主催の討論会で河野氏に疑問を呈した。使用済み核燃料を再処理して繰り返し使う「核燃料サイクル」を止めれば使用済み核燃料が行き場を失い、全国各地の原発にある貯蔵プールがあふれるため再稼働は難しくなるというわけだ。高市早苗前総務相も19日のインタビューで核燃料サイクルは「継続せざるを得ない」と述べた。

核燃料サイクルを止めた後に核のゴミをどうするのか。河野氏は「今年、来年というわけにはいかないかもしれないが、きちんと議論のテーブルに載せて国民に状況説明していく」と述べるにとどめている。

原発の新増設に関しても立場は分かれる。河野氏が否定するのに対し、高市氏や野田聖子幹事長代行はデジタル化で急増する電力需要を再生可能エネルギーでは満たせないと主張する。

高市氏は低コストで安全性が高いとされる地下設置型の「小型モジュール原子炉(SMR)」を普及させるとともに、高レベルの放射性廃棄物を出さない「核融合炉」に大規模投資する構想を掲げる。岸田氏は新増設について「その前にやることがある」として再稼働を優先する考えを示すが、SMRや核融合炉への投資を進めるとしている。

原発を昼夜を通じた安定電源と位置付ける野田氏は19日のインタビューで、新増設については現段階で判断できないとした。一方、原発のリプレース(建て替え)を推進する党の議員連盟に対し、SMRやリプレースを「重要な選択肢」と回答している。(杉本康士)