首相が国連演説「拉致問題解決に、一刻の猶予もない」

国連総会の一般討論演説をビデオ録画方式で行った菅義偉首相=25日、米ニューヨークの国連本部(ロイター)
国連総会の一般討論演説をビデオ録画方式で行った菅義偉首相=25日、米ニューヨークの国連本部(ロイター)

菅義偉(すがよしひで)首相は25日、国連総会の一般討論演説をビデオ録画方式で行い、北朝鮮による拉致問題について「被害者の家族が高齢となる中、拉致問題の解決は一刻の猶予もない」と訴えた。その上で「日朝が実りある関係を樹立することは日朝双方の利益に合致するとともに、地域の平和と安定にもつながる」と述べ、退陣を間近に控える中、最後まで拉致問題解決に向けた意欲を示した。

首相はまた、「法の支配に基づく、自由で開かれた国際秩序の重要性」を強調。国民監視にデジタル技術を駆使する中国などを念頭に「デジタル空間の可能性を最大限活用する上で、新たな技術がわれわれの普遍的価値を損なうために用いられることがあってはならない」と訴えた。

途上国のインフラ投資に関しては「すべての国によって開発金融の国際ルールが順守され、透明性・公平性が確保される環境づくりをリードする」と述べた。インフラ投資で途上国に多額の借金を負わせ、影響力を強める中国を間接的に批判した。

一方、イスラム原理主義勢力タリバンが実権を掌握したアフガニスタンについて「再びテロの温床になることを食い止めなければならない。人道支援機関の安全な活動を確保し、女性などの権利を守ることが重要だ」と述べた。タリバンに対しては、女性の権利を尊重するなどとした約束について「言葉ではなく行動を見ていく」とした。

また、東京五輪・パラリンピックの開催に関し、「人類が大きな困難に立ち向かう中、世界の人々の団結を象徴する大会となった」と意義を強調。新型コロナウイルス対策では計6千万回分のワクチンをインド太平洋地域の国・地域などに現物供与する方針を改めて表明した。