クアッド首脳会合

会合定例化も首相交代で信頼再構築が不可欠

4カ国首脳会合を前に記念写真に納まる(左から)菅首相、インドのモディ首相、バイデン米大統領、オーストラリアのモリソン首相=24日、ワシントンのホワイトハウス(内閣広報室提供・共同)
4カ国首脳会合を前に記念写真に納まる(左から)菅首相、インドのモディ首相、バイデン米大統領、オーストラリアのモリソン首相=24日、ワシントンのホワイトハウス(内閣広報室提供・共同)

日米豪印4カ国(クアッド)の首脳会合では、日本が訴えてきた定例化で一致したほか、インフラ分野などの協力拡大も確認し、10月に退任する菅義偉首相は就任から1年で一定の成果を得た形だ。自民党総裁選(29日投開票)を経て事実上決まることになる次期首相は、各国首脳との信頼関係の再構築や、協力の具体化が課題となる。

「菅政権以前から日本は首脳会合を模索してきた。求めてきた定期開催がようやくできた」

会合後、政府高官はこう強調した。前向きな日米と異なり、全方位外交を掲げるインドやオーストラリアは常に積極的というわけではなかった。ただ、中国との対立や警戒感から徐々に軸足を移すようになった。

安倍晋三前首相がモディ印首相と信頼関係を構築し、後任の菅首相もバイデン米大統領やモリソン豪首相と良好な関係を築いたことは、初の対面会合の〝土台〟になったとみられる。

クアッドは「軍事同盟ではない」(外務省)ため、協力は新型コロナウイルス対策や経済など安全保障以外が中心だ。その意味で、共同声明に盛り込まれたインフラ分野の協力強化は、インド太平洋地域の各国に経済的なメリットがあるだけでなく、途上国を借金漬けにする「債務のわな」が問題化する中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗するものにもなる。

とはいえ、プロジェクトの具体化は簡単ではない。実際の支援ではどの国が資金を融資し、どの国の企業が事業主体になるかなど利害が複雑にからんでくるためだ。持続可能性や透明性などスローガンを訴えるだけにとどまれば、途上国の支持は得られず、〝対中包囲網〟は揺らぎかねない。

4カ国の結束を維持できるか。次期首相に課せられた責任は大きい。(ワシントン 田村龍彦)