ファーウェイCFO帰国、カナダ人の人権配慮と対中政策で取引か - 産経ニュース

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ファーウェイCFO帰国、カナダ人の人権配慮と対中政策で取引か

24日、カナダ・バンクーバーの裁判所前で、声明発表の準備をする華為技術副会長兼最高財務責任者の孟晩舟被告(中央)(カナダ通信提供、AP=共同)
24日、カナダ・バンクーバーの裁判所前で、声明発表の準備をする華為技術副会長兼最高財務責任者の孟晩舟被告(中央)(カナダ通信提供、AP=共同)

【ニューヨーク=平田雄介】中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)副会長兼最高財務責任者(CFO)孟晩舟(もう・ばんしゅう)氏の司法取引が成立した背景には、孟氏拘束直後に中国で国家機密を探った罪などで拘束され〝密室裁判〟で疲弊するカナダ人2人への人権上の配慮に加え、バイデン米政権の対中政策上の考慮があったとみられる。

2人の解放を外交の最優先課題としてきたカナダのトルドー首相は24日夜、「1000日もの間、信じられないほど厳しい試練を経験した」と思いを寄せた。トルドー氏は2人の解放に向け、中国が求める孟氏の帰国を模索。司法取引の成立を目指し米中への働きかけを検討したが、孟氏を起訴したトランプ前米政権での実現は見込めなかった。

だが、人権を重視するバイデン米大統領への政権交代が転機となった。2月の首脳会談でトルドー氏の要請を受けたバイデン氏は「われわれは協力し、(2人の)安全な帰国を実現させる」と約束。8月2日と今月21日の首脳会談でもこの約束は確認された。

来月21日以降に予定されていた孟氏の米国移送をめぐる審理の判決は、孟氏敗訴の見方が有力だった。だが、孟氏は確実に上訴し、結論までさらに3年間を要すると見込まれた。

カナダ人2人の拘束からすでに3年近くが経過していることもあり、2人の人権への配慮に加え、気候変動問題などでの協力も視野に中国に恩を売る利益のあるバイデン氏が、トルドー氏の度重なる要望を受け入れて司法取引に導いたとみられる。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「バイデン政権は懐柔的な対中接近のシグナルを送った」と伝えた。

ただ、中国は2010(平成22)年の尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖中国漁船衝突事件でも同様の「人質外交」を行った経緯があり、新たな「成功例」を中国に与える結果にもなった。トルドー氏は「分析と反省のための時間が今後とられるだろう」と語っている。