新局面迎えた山梨水素プロジェクト 太陽光発電ありきから脱却(2/2ページ) - 産経ニュース

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新局面迎えた山梨水素プロジェクト 太陽光発電ありきから脱却

山梨県が運用を始めた、水の電気分解技術を活用した水素発生装置=甲府市(平尾孝撮影)
山梨県が運用を始めた、水の電気分解技術を活用した水素発生装置=甲府市(平尾孝撮影)
水電気分解装置を大型化

これに続くのが、県と東レ、日立造船、三浦工業などと連携する共同事業体「やまなし・ハイドロジェン・エネルギー・ソサエティ(H2-YES)」による新実証事業。P2Gで採用されている固体高分子型の水の電解分解技術をベースに、従来の10倍程度の大型の装置を開発する。

大量に生成した水素は、ボイラーなどの燃料にすることを想定している。重油や天然ガスは燃やすと二酸化炭素が排出されるが、水素なら燃やしても水や水蒸気しか出ない。ボイラーなどの燃料を化石燃料から水素へ転換させることで、脱炭素が可能になる。

燃料としての水素に着目した取り組みは、前例が少ない。このため、政府の脱炭素方針促進の「グリーンイノベーション基金事業」の第1号案件に選ばれるなど、期待が寄せられている。

多様な再生エネ利用

新実証事業と従来のP2Gで異なるのが、電力供給のあり方だ。従来のP2Gはあくまで米倉山の太陽光発電の電力によるものだったが、新実証事業では、水の電気分解装置にさまざまな再エネ由来の電力を供給するため、一般的な電力系統を通じて供給する。太陽光だけでなく、水力、風力、地熱などの再生エネが多様に使えることになる。

これにより水素を液化して運搬する必要がなくなる。状況によっては必要な分だけ水素を作ればよく、貯蔵も不要で、脱炭素の最大の課題でもあるグリーン水素コスト引き下げにも貢献する。

また、宮崎氏は「これまでのヘリウムなどを使用していた半導体や機器の洗浄用にグリーン水素を活用することも想定している」とし、脱炭素の切り札とされる水素の多様な活用を、県としても進めていく方向だ。(平尾孝)