総裁選争点に年金改革浮上 消費税で最低保障の是非 - 産経ニュース

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総裁選争点に年金改革浮上 消費税で最低保障の是非

【自民党総裁選2021】タウンミーティング「国民の声に応える政策討論会」に臨む(左から)河野太郎ワクチン担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行=23日午後、東京・永田町の自民党本部(春名中撮影)
【自民党総裁選2021】タウンミーティング「国民の声に応える政策討論会」に臨む(左から)河野太郎ワクチン担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行=23日午後、東京・永田町の自民党本部(春名中撮影)

自民党総裁選(29日投開票)の争点に年金制度改革が浮上している。河野太郎ワクチン担当相が、全額税方式による「最低保障年金」の導入を提唱したことがきっかけだ。低年金になる人への対策にはなるが、消費税などの大幅増税は必至。河野氏は増税幅の提示を避けており、他の3候補は河野氏案に否定的な主張を展開している。

公的年金は、国民年金(基礎年金)と、会社員らが加入する厚生年金の「2階建て」となっている。国民年金の財源は、保険料と国庫負担(税金)で半々。自営業者らが受け取るのは国民年金で、保険料を40年間納めた場合、支給額は満額の月約6万5千円だ。保険料未納期間があれば、年金は減る。給付水準は少子化などで将来的に下がる見通しで、低年金者への対策は課題となっている。

河野氏の問題意識もそこにあり、「老後の生活が最低限保障できるのか。最低保障年金は税金でやる。資産、収入が一定以上ある人には出さない」と訴える。新著『日本を前に進める』(PHP新書)によると、財源は消費税としている。

旧民主党は政権を獲得した平成21年の衆院選で、消費税を財源とする月額7万円の最低保障年金の創設を公約に掲げたが、頓挫した。河野氏は20年12月、立憲民主党の枝野幸男代表や岡田克也元外相らとともに年金改革案を発表し、柱は全額税方式の基礎年金だった。これが河野氏案と旧民主案の原型といえる。

新著によると、2階部分は、現役時代に積み立てた保険料に比例して支給する「積み立て方式」にするという。実現すれば、現役世代が納めた保険料を、そのときの年金受給者への支払いにあてる現行の「仕送り方式(賦課方式)」からの大転換となる。賦課方式だと人口構成の変化に影響されるため、少子高齢化の進展で年金財政は厳しくなるが、積み立て方式だと人口動態の影響は受けにくい。

河野氏案に対し岸田文雄前政調会長は「民主党(政権)のとき『消費税率を8%上げないといけない。実現不可能だ』と言ってきた」と疑問を呈し、消費税増税した場合の経済への影響を懸念。高市早苗前総務相も「制度的に無理がある」、野田聖子幹事長代行は「不安をあおるのはやめたほうがいい」と反対の立場を鮮明にしている。

岸田氏は厚生年金の適用拡大が「現実的な対応」としているほか、著書『岸田ビジョン』(講談社)で「(自営業者、会社員、専業主婦という)3つのくくりだけでは十分に実態を捉えきれなくなってきている」と指摘。「国民年金と厚生年金について財政を一元化する、あるいは財政を調整することを考える時期に来ている」と明記した。

総裁選の対立軸となっている年金改革について、厚生労働省幹部は「税方式の最低保障年金は昔からある議論だ。財源をどう確保するかに尽きる。よい知恵があるなら否定しない。生活保護のような救貧政策との関係も整理する必要がある」と語る。(坂井広志)