チーム学校

スクールソーシャルワーカー 子供と福祉支援をつなぐ扇の要

病気や障害など様々な理由で生活に支障がある人に対し、福祉的な助言や支援を行うソーシャルワーカー。中でも学校と連携し、子供や家族が抱える困りごとに福祉の専門知識を持ってかかわるのがスクールソーシャルワーカー(SSW)だ。教員と教員以外の専門職が連携して子供たちをサポートする「チーム学校」においては、学校と家庭、地域の支援機関の橋渡し役を担う。

大阪府東部の公立小学校で2学期が始まった9月上旬、4年生の女児がランドセルを背負い、友達と笑顔で下校していた。その姿をそっとみていたスクールソーシャルワーカー(SSW)の山田卓也さん(25)=仮名=は、「ランドセルすら嫌がっていたところから、ここまで来られてよかった」と目を細めた。

女児は小学校に入学した直後、同じクラスの児童の何気ない一言に傷つき、学校を休むようになった。担任が「繊細過ぎるのでは」と発達障害の検査を受けるよう勧めたが、母親はこれによって学校不信に。一方、学校側は「母親が女児を登校させようとしていない」とみており、有効な対策がとられないまま、不登校の状態が続いた。

転機となったのは女児が3年生の時、母親が地域の子育て世代包括支援センターに相談に訪れたことだった。「娘を学校に通わせたい。でもそれが難しいので、勉強はさせたい」。そんな相談内容を山田さんが知り、学校に確認。「お母さんの思いと学校側の受け止めが全然違うことがわかり、登校に向けて何ができるかという議論を始められた」(山田さん)

担任は、女児を特別支援学級に移すのが適切だと考えていたが、山田さんは母親や女児との面談を経て、通常学級に籍を置いたまま特別支援学級で過ごす時間を作る「通級指導」を提案。女児はこの形で学校に再び通い始め、4年生になってから、学校で過ごせる時間が増えている。

社会に出るための支援

スクールカウンセラー(SW)が心理面から子供の課題解決をめざすのに対し、SSWは子供を取り巻く環境面に目を配り、公的支援や施設の利用を含めたさまざまな提案を行う。

多くは子供たちが学校生活を健やかに過ごすための支援だが、学校から社会に出るタイミングでSSWの専門性が発揮されることもある。

高校3年生の就職活動が本格化していた昨年9月、大阪市内の公立高校で、3年生の担任教諭と進路指導教諭、SSWらが就労を希望する女子生徒の進路について話し合っていた。

コロナ禍で求人件数は例年より大きく落ち込んでいた。かつて不登校だった女子生徒は感染拡大に伴う混乱から高校にあまり来なくなっており、進路指導も十分に受けられていなかった。消極的な性格だが、そもそも面接まで辿り着けない。SSWの川田のぞみさん=仮名=は「卒業までに就職が決まらないかもしれない」と考え、担任に保護者や本人との面談に同席させてもらうよう提案した。

新たな選択肢を提示

文部科学省によると、今春の高卒就職内定率は97・9%と例年並みの高い水準を保った。一方で近年の高卒就職者の3年以内の離職率は約40%と高く、1年以内に辞めてしまう人も少なくない。少ない選択肢から就職先を選んだために仕事の内容が合わなかったり、職場の人間関係に難しさを感じたりして離職するケースが多いという。

面談を重ねる中で、女子生徒の母親は「娘は他のきょうだいと比べ成長がゆっくりなんです」と話した。川田さんは、女子生徒がちょっとした問いかけに考え込んでしまうところも気になった。親子が社会へ出ることを不安に思っていることを感じ取った川田さんは、こうした若者が職業訓練や就業体験などを受けられる厚生労働省委託の支援機関「地域若者サポートステーション」へつないだ。

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