不法滞在で強制送還されたスリランカ人男性2人が、難民不認定処分の取り消し訴訟を起こす前に送還されたのは違法として計1000万円の国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決が22日、東京高裁であった。平田豊裁判長は「憲法で保障する裁判を受ける権利を侵害した」と認定、請求を棄却した1審判決を変更し国に計60万円の支払いを命じた。男性らの代理人弁護士によると、同種訴訟での違憲判断は初。
判決によると、男性2人は平成23~24年に入管難民法違反(不法残留)容疑で逮捕され起訴猶予処分となり、難民認定を申請。不認定処分を受けたため、いずれも異議を申し立てた。2人は26年12月、仮放免が取り消されて東京入管に収容された後に異議申し立てが棄却されたと告げられ、その翌日に強制送還された。
判決理由で平田裁判長は、取り消し訴訟を起こせる期間(6カ月以内)より前の送還自体は「直ちに違法とはいえない」とした一方、「2人は外部との連絡を取ることができないまま、収容の翌日に送還された」と指摘。「集団送還を予定通り実施するため、あえて棄却決定の告知を送還の直前まで遅らせた」と結論づけた。
2人は逮捕前の時点で日本に7~12年にわたり滞在。難民認定を申請したのは逮捕後が初めてだったが、平田裁判長は「申請が濫用(らんよう)的なものであるかも含め、司法審査の機会を奪うことは許容されない」とした。