福島・双葉町で11年ぶり稲刈り 原発事故で避難

原発事故で全町民避難が続く双葉町で11年ぶりに行われた稲刈り=22日、福島県(芹沢伸生撮影)
原発事故で全町民避難が続く双葉町で11年ぶりに行われた稲刈り=22日、福島県(芹沢伸生撮影)

東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く、福島県双葉町の特定復興再生拠点区域(復興拠点)で22日、11年ぶりに稲の収穫が行われた。営農再開に向けて米の安全性を確認する試験栽培で原発事故後、同町で稲刈りが行われたのは初めて。

収穫が行われたのは同町下羽鳥地区にある約980平方メートルの田んぼで、福島第1原発の北西約4キロに位置する。5月の田植え後、農地の所有者らで組織する下羽鳥・長塚地区農地保全管理組合の有志が、福島県内や東京、新潟などの避難先から通い稲を育てた。

8月に長雨や気温が低い日が続くなどして生育が心配されたが、同管理組合の木幡治組合長(70)=いわき市=は「予想以上に育ってくれた」と安堵(あんど)の表情。この日の収穫作業は木幡組合長ら組合員3人が手作業で行った。黄金色の稲が鎌で刈り取られると、「ザクッ、ザクッ」と心地いい音が秋晴れの空に響いた。

収穫した米は検査機関で放射性物質の検査を行うほか、稲の一部は同町の初発(しょはつ)神社に奉納される。双葉町では来春の復興拠点の避難指示解除を目指しており、令和7年には稲作の本格再開にこぎつけたい考えだ。今回、試験栽培で収穫した米はすべて廃棄される。

週末に車で1時間以上かけて通い、世話を続けたという木幡組合長は「稲刈りができて感無量。毎年続けたい」とした上で、検査については「早く結果を知りたい」と話していた。