韓国の女性歌手、キム・ヨンジャ(1959年~)が2001、02年と、2年続けて北朝鮮で行った公演は、大反響を呼ぶ。最初の訪朝となった01年4月の動きを詳しく振り返ってみたい。
新潟―ウラジオストク(ロシア)経由の飛行機で5日、平壌に到着したヨンジャ一行を、文化芸術次官らが出迎えたことを2日後の平壌放送が伝えている。北朝鮮の初代最高権力者、金日成(キム・イルソン)の誕生日(15日)に合わせて開催される「4月の春 親善芸術祝典」に参加するため、と報じられている点が興味深い。この時点でヨンジャの公演に対する北朝鮮側の認識は、「芸術祭の一部」という位置づけだったことが分かる。
最初の公演は7日、約1500人収容の平壌・青年中央会館で行われ、文化芸術相、副首相などを歴任した芸術外交の実力者、張(チャン)徹(チョル)も駆け付けた。2回目・9日の公演は、さらに収容人員が多い(約2000人)平壌国際映画会館となったが、口コミで評判を呼び、群衆が殺到。窓から無理やり入場しようとしてガラスが割れる騒ぎに。興奮したのは一般の観客だけではない。北朝鮮の政府・党の要人からは「入場券が手に入らないか?」と関係者に問い合わせが相次ぎ、電話が鳴りっ放しになった、という。