総裁選 国民に響く演説は? 専門家に聞く

新型コロナウイルスの感染拡大は自民党総裁選(29日投開票)にも影響を与えている。候補者は地方への遊説や大勢の聴衆を集めた演説会を控え、ネットを活用して政策をアピールする。立候補した河野太郎ワクチン担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4氏のオンライン討論会などでの印象について、コミュニケーションの専門家に聞いた。

コロナ禍での総裁選に、自民党はネットを使った選挙戦を展開。20日には党本部で青年局・女性局主催の討論会を行ったほか、23~26日には、特設サイトで国民から募集した質問や意見を基に候補者が議論する政策討論会も、初の試みとして予定している。

コミュニケーション戦略研究家で、企業の経営者に話し方を指導する岡本純子さんは20日の党の討論会などをオンラインで見た。

岡本さんは河野氏の話し方について、「はっきりよどみなく意見を言い、信念があるように思わせる」と分析。一方で「幹となるメッセージが抽象的で、どういう社会を作りたいのかが伝わりにくい」と述べた。

岸田氏については、「もともと強く語るタイプではないので、時折言葉に詰まると、『あー』や『えー』などの言葉が多くなっていた」と指摘しつつも、「昨年の総裁選より力強く話し、質問にも真摯(しんし)に答えている」と評価した。

高市氏については「論旨が明快。タカ派の主張をしているのに表情が柔らかく、戦略的」とする一方、「一部の支持者には受けるが、国民全体への訴えとしては弱いのではないか」と指摘した。

野田氏に対しては「自然体で親しみやすい印象。飾らないところが魅力ではないか」と分析した。ただ、個人的な体験に基づくメッセージが多かったことが気になったといい「限定的な印象も与えてしまうだろう」と述べた。

印象評論家で亜細亜大教授の重田みゆきさんも、20日の討論会を基に4氏の印象を分析した。

河野氏は、約1時間半の討論に最後まで疲れを見せなかったとして、「体力がある印象を受けた」と評価。「聞き手が相づちを打つ間合いを入れてもいい」と改善点を挙げた。

岸田氏には「女性局主催ということを意識し、妻とのエピソードなどを交え、人柄が出ていた」としたが、猫背で、ジェスチャーが見えにくくなった点が気になったという。

高市氏に対しては「質問に対する答えが遠回しではなく、明確に答えていたが、討論の後半は表情に疲れが出ていた」と指摘した。野田氏については「ファッションも含めて落ち着いた印象」とする一方、「リラックスしすぎている、と感じる人もいるのでは」と分析した。

重田さんはオンラインでの演説について、「対面ならある会場のヤジやうなずきなどの反応がなく、話し方が一方的で早口になりやすい。相手のリアクションを想像しながら話すといい」とアドバイスした。(橘川玲奈)