なぜ感染者急減、専門家の分析は 感染力に変化?気候?  - 産経ニュース

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なぜ感染者急減、専門家の分析は 感染力に変化?気候? 

 新型コロナウイルスの感染「第5波」で、全国的に新規感染者が急速に減少している。大阪府内では今月1日、1日当たり3千人超のピークを迎えたが、直近は1割以下の200人台の日も。なぜ感染者は急減したのか。専門家によると、お盆の長雨やデルタ株への恐怖心など、複数の要因が影響した可能性がある。一方、国内のワクチン浸透を受け、ウイルスそのものが「次の変異」を模索し、一時的に感染力を弱めた―との見方も。いずれにせよ、次の「波」に向けた対応は不可欠だ。

危機感

「地下街など特定のポイントで人が減ったことで、感染抑制に奏功したのでは」。関西福祉大の勝田吉彰教授(渡航医学)はこう指摘する。

第5波では、百貨店の地下食品売り場「デパ地下」でクラスター(感染者集団)が相次ぎ発生。従業員らの感染が続出した阪神梅田本店(大阪市北区)や阪急うめだ本店(同)などは臨時休業となり、混乱が広がった。

勝田氏は「地下街など空気が滞留している場所は『危ない』という認識を持つことができた。梅田など繁華街そのものの人出は大きく減っていなくても、特定の場所で人流が減り、感染者減につながったのではないか」と分析した。

お盆の長雨

天候の影響も無視できないようだ。関西ではお盆に長雨が続き、涼しい日が多かった。勝田氏は「例年の真夏であれば、冷房を効かせるために換気ができなかった場面もあったはず。ただ今夏は違った。涼しくなり、窓を開けて換気することが容易になった可能性がある」。

コロナ禍での行動心理に詳しい筑波大の原田隆之教授も、長雨の影響を認め、「雨で外出の意欲がなくなったり、気持ちも上向きにならなくなったりし、人々の行動が変わったと考えられる」と話す。

このほか原田氏は、「若い世代でも症状の悪化がある」といったデルタ株の特徴を注視。「感染に恐怖を抱く若者が増え、外食するにしても感染対策が施された店を選ぶようになったのではないか」と推測した。

ただ長雨やデルタ株の流行は、いずれも偶発的な現象といえる。原田氏は「次の感染拡大に備え、今こそ知恵を出し合うべきではないか」と強調する。

生存かけ弱体化

2回目のワクチン接種を終えた人は全人口の5割を超えた。ウイルス学の観点からは、ワクチン接種の進展に伴う影響も考えられるという。

広島大大学院の坂口剛正(たけまさ)教授によると、新型コロナウイルスは非常に変異しやすい。これまでの変異では感染力を強める傾向があったが、ワクチンの台頭で強い抗体に対応する必要が生まれた。生き残りをかけ、次の変異を模索する中で、ウイルス自体の感染力が一時的に低下することがあるという。

坂口氏は「あくまで推測」と前置きした上で、感染者急減の原因について「変異の過程で、感染力に微妙な変化が生じたからかもしれない」と述べた。