国内初、ヒメトガリネズミの出産確認

ヒメトガリネズミの親子=9月20日ごろ撮影(札幌市円山動物園提供)
ヒメトガリネズミの親子=9月20日ごろ撮影(札幌市円山動物園提供)

札幌市円山動物園は22日、飼育中で詳しい生態が明らかになっていないモグラやハリネズミの仲間の「ヒメトガリネズミ」について、国内で初めて出産を確認したと発表した。専門家は「子供の飼育事例も含め、おそらく世界で初めてのケース」としている。

同園は今年6月から、北海道大学低温科学研究所の大舘智志研究室および東海大学生物学部生物学科の河合久仁子研究室と共同研究を開始。8月に北海道根室市で15頭のヒメトガリネズミを捕獲し、同動物園に運んで調べたところ2頭が妊娠していた。このうち1頭が9月8日に6頭、10日に別の個体が7頭を出産した。いずれも順調に生育しているという。

トガリネズミは温帯から寒帯の森林や草原に住む体重1・5~20グラムほどの小型哺乳類。北海道には環境省が選定した絶滅危惧Ⅱ類の「トウキョウトガリネズミ」(体重約2グラム)をはじめ、「ヒメトガリネズミ」(約4グラム)、「エゾトガリネズミ」(約6~7グラム)、「オオアシトガリネズミ」(約10グラム)が生息する。ヒメトガリネズミは主に道東や道北に分布するが、人目にほとんどつかないため詳しい生態が明らかになっていない。

共同研究メンバーで、トガリネズミに詳しい北海道大学低温科学研究所の大舘智志助教は、研究の多くが新しい情報になると説明。「育成技術の確立などにつながればトウキョウトガリネズミを人工繁殖できる可能性も出てくる」などと期待を寄せる。

円山動物園でも職員らが快挙に沸いているが、飼育を担当する飼育展示課の朝倉卓也係長は「静かな環境をつくりながら見守っている。初めてのケースなので無事に育ってほしい」と語っている。