国民の自衛官(5)

海自航空衛生隊医務班長 米倉壽朗1等海尉(52) 救助法見極め、経験を糧に

若い班員に救命法などを指導する米倉壽朗1等海尉 (右)=徳島県松茂町の徳島航空基地
若い班員に救命法などを指導する米倉壽朗1等海尉 (右)=徳島県松茂町の徳島航空基地

海上自衛隊の航空救難部隊で25年間活動した。救難ヘリの機上救護員として、離島や船舶からの救急患者の輸送、洋上救難、災害派遣、台風時の島民避難、防護服着用での新型コロナウイルス感染者の輸送など豊富な経験を誇る。「大きな事故なく活動できた。諸先輩のご指導、そして同僚、後輩のおかげ」と語る。

印象に残るのは平成23年3月の東日本大震災。大村航空基地(長崎)から派遣され、捜索・救助、被災者の輸送などに当たった。「家が洋上に流され、想像を絶する最悪の状況。輸送中の被災者が涙を流し、握手を求められたのが忘れられない」と振り返る。

出動時は現場の状況を確かめ、多種多様な救助法から最適の方法を選ぶための冷静な判断力が必要で、日頃の訓練と実動経験が糧になる、と考えている。「訓練で泣き、実動で笑う」という言葉をかみしめる。

平成17年の硫黄島沖の貨物船転覆の洋上救難では、悪天候の中、ヘリ2機で16人を救出した。現在は徳島航空基地隊の航空衛生隊医務班長を務める。

国内・国際貢献に尽力できる仕事として自衛隊を志願。入隊後は急患輸送の多さを感じ、離島が多い長崎県出身ということもあって、救急救命士や准看護師の資格を生かせる人命救助への使命感が高まった。患者の家族らからの感謝の手紙が励みだという。

今春、長女(23)が海自に入隊した。本人の決断を尊重しながらも、「危険を伴うので心配」と父親の顔をのぞかせた。

(和田基宏、写真も)

<第19回国民の自衛官> 主催・フジサンケイグループ / 主管・産経新聞社 / 協力・防衛省 / 特別協賛・航空新聞社 / 協賛・日本防衛装備工業会、防衛懇話会、タカラベルモント、ユニオン、リコルディ