潜水艦契約破棄、NATO新戦略概念に波及も 対中包囲にきしみ

米ニューヨークで会見するルドリアン仏外相=9月(AP)
米ニューヨークで会見するルドリアン仏外相=9月(AP)

米英がオーストラリアと原子力潜水艦配備で合意し、フランスが豪州との契約を破棄された問題で、ルドリアン仏外相は20日、北大西洋条約機構(NATO)が中国の脅威への対処をめぐって採択を目指す新戦略概念への影響を警告した。

ルドリアン氏は、国連総会が開かれている米ニューヨークで記者会見し、「契約だけではなく、信頼も破られた」と怒りを示した。そのうえで、インド太平洋の安全保障で「欧州は(米国と)同じ利害を持っているわけではない。NATOの新戦略概念でも、米国と協議が必要になるだろう」と述べた。

戦略概念はほぼ10年ごとに、NATOの任務を定める文書で、来年改定される予定。NATOは6月の首脳会議で、中国を「体制上の挑戦」と見なす声明を発表しており、新戦略概念では対中政策が初めて盛り込まれる計画になっている。

米国が英豪と秘密交渉で安全保障の枠組み「AUKUS」(オーカス)を創設したことにより、欧州では「バイデン米政権が欧州を軽視したことの表れ」という見方が広がっている。フランスは欧州連合(EU)でインド太平洋戦略を主導しており、今回の件は、対中圧力で米欧連携の乱れにつながる恐れがある。(パリ 三井美奈)