経団連会長「国家観を」 自民総裁選、財界から注文

自民党総裁選で4人の候補者による論戦が活発化する中、財界が注文をつける場面が増えている。21日には、経団連の十倉雅和会長が各候補者に国家観や国家ビジョンを打ち出すよう要求。日本商工会議所の三村明夫会頭は岸田文雄氏とのウェブ面談で、経済正常化に向けた議論の深化に期待を示した。新型コロナウイルス禍からの脱却が喫緊の課題となり、中長期的にも少子化や財政再建などの課題が山積する中、財界としても主張を強く訴えていく構えだ。

「(主張内容に)国家観や国家ビジョン、戦略など『大きなところ』があってもいい」。経団連の十倉会長は21日の定例記者会見で、各候補者に個別テーマに対する考えだけでなく、「大局観」も披露するよう求めた。

十倉氏は「この人を応援するとか支持するとかは言わない」とした上で各候補に言及。16日に経団連を訪れ、新しい日本型資本主義の構築を訴える岸田氏に対し、「サステナブル(持続可能)な資本主義を掲げる経団連と同じ問題意識を持っている」と伝えたことを明らかにした。一方で8日に河野太郎氏と会ったことも明かし、「非常に実行力を持っている」と評価。高市早苗氏については「エネルギー政策や国家ビジョンなどはメリハリが利いていて分かりやすい」、野田聖子氏についても「社会の多様性を重視されていて、ご自身の体験を交えて話されていて分かりやすい」と長所を挙げた。

また、十倉氏は温室効果ガス排出を実質ゼロにするには原発の再稼働や建て替えが必要だと強調。研究開発段階の核融合発電について「燃料が豊富で、廃棄物の環境負荷も小さい」と実用化を訴え、岸田氏と高市氏が言及したことを高く評価した。

一方、日商の三村会頭は岸田氏との面談で、新型コロナの感染収束に伴う社会経済の正常化に向けた議論や、「コロナ後」の国家運営に関する議論が深まることに期待を表明。疲弊する中小企業の支援も求めた。

財界からの注文は多岐にわたる。経済同友会の桜田謙悟代表幹事は、野田氏が立候補を表明する前の15日に「(現時点では3人の候補者の主張は)将来の財政については不明確だ」と、財政健全化への踏み込んだ対応を要求。関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)も「(首相になる人は)日本の財政を回復させるときちんと言える人だ」と強調する。