世界同時株安、「中国版リーマンショック」の懸念強まる

中国の不動産大手「中国恒大集団」の資金繰り悪化に端を発した世界的な株式市場の急落は、投資家が中国の不動産バブルの崩壊による金融・株式市場の混乱リスクを意識したことが背景にある。中国最大級の民間企業の破綻を中国政府が放置する可能性は低いとの楽観論がある一方、高騰する不動産価格の抑制に努める当局は救済に動かないとの悲観的な見方もある。

中国恒大は33兆円超といわれる巨額債務を抱えている。中国経済を牽引(けんいん)してきた不動産産業で業界を代表する企業の資金繰りが行き詰まれば、下請け企業や取引銀行に経営不安が広がり、金融システムにまで影響が広がる可能性がある。

こうした懸念は以前から指摘されていたが、今月23日に大規模な社債利払いが期日を迎えることでデフォルト(債務不履行)の恐れが急速に強まり、投資家心理が悪化。リスク資産を手放す動きが各地で加速した。

米証券大手リーマン・ブラザーズの突然の経営破綻をきっかけに起きた2008年のリーマン・ショックに似ているとの指摘も出ており、「中国版リーマン」への警戒感が強まった。

一方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストは「中国当局が恒大を潰すことは考えにくい。何らかの支援策を打ち出して債務を再編させ、長期的に返済させる流れになるだろう」と指摘。中国版リーマンの懸念には否定的だ。

とはいえ、中国の習近平国家主席はかつて毛沢東が提唱した「共同富裕」というスローガンを掲げ、貧富の格差を解消し社会全体を豊かにするとして不動産産業に対する規制を強めてきた。このため、改革開放路線の下で急成長した中国恒大を積極的に支援しないとみる向きもあり、市場関係者は中国当局の判断を固唾をのんで見守っている。(田辺裕晶)