国連総会、2年ぶり対面開催 団結と大国の対立映す

今年の国連総会は2年ぶりに対面での外交が復活し、多国間交渉で気候変動や新型コロナウイルスのワクチン分配といった人類共通の課題の解決を目指す機運が高まっている。一方で軍事クーデターが起きたミャンマーの代表権をめぐり米中を中心に民主主義国家と権威主義国家の対立が露呈。年に1度、世界の首脳らが一堂に会する総会のあり方が問われている。

英国のジョンソン首相は20日、国連本部で気候変動問題に関する非公式のハイレベル会合を開き、「いくつかの経済大国の取り組みは遅れすぎている」と指摘。産業革命前からの気温上昇を1・5度以下に抑えるパリ協定の努力目標を達成するため、途上国の温室効果ガス排出削減などを支援する年間1千億ドル(約11兆円)の確保に向けた支援を先進国に呼びかけた。

英国は10月31日から11月12日に英グラスゴーで開催される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で議長国を務める。ジョンソン氏としては、総会での訴えや国連外交を、COP26の成功に結びつけたい考えだ。

ジョンソン氏の発言に対し、米国のケリー大統領特使(気候変動問題担当)は資金援助の増額に前向きな姿勢を示した。会合を共催したグテレス事務総長は、「励みとなる宣言を聞くことができた」と語った。

新型コロナ対策でも先進国と途上国のワクチン格差の解消に向けた取り組みが進む見通しだ。バイデン米大統領が22日に開く首脳会合では、ワクチン格差を是正するため、次の総会が開かれる来年9月までに「世界人口の70%のワクチン接種完了」といった目標が提示される予定だ。

ただ、ミャンマーのチョー・モー・トゥン国連大使は大国間の思惑に翻弄され、総会での演説が断念に追い込まれる見通しだ。

2月の国軍によるクーデター前にアウン・サン・スー・チー氏が率いた国民民主連盟(NLD)政権に任命された同大使は演説する意向だったが、外交専門誌に「(総会で)演説する可能性はほとんどないと思う」と語った。大使を交代させたい国軍の後ろ盾の中国と留任させたい米国が水面下で交渉し、演説をさせない代わりに国連で一国を代表する大使を決める信任状委員会を早期開催しないことで合意したという。

当面、チョー・モー・トゥン氏が大使を務めるものの、民主主義の復活を願う国民の声を総会の場で世界に届ける機会は失われた。(ニューヨーク 平田雄介)