大阪の基準地価下落 ミナミからキタに波及

「基準地価」 地価が下落した大阪・キタの商業施設 =21日午後、大阪市北区(柿平博文撮影)
「基準地価」 地価が下落した大阪・キタの商業施設 =21日午後、大阪市北区(柿平博文撮影)

今回の都道府県地価(基準地価)調査では大阪の繁華街ミナミの2地点が全国の商業地の中で下落率のワースト1、2位を占め、長年上昇していたキタの一等地も下落に転じた。新型コロナウイルスの感染拡大で訪日外国人(インバウンド)需要が消失し、商業施設の臨時休業や人出の減少へ波及。オフィス需要にも陰りが出ている。今後の大規模再開発や大阪・関西万博の経済効果で地価の上昇につながるか注目される。

大阪圏(大阪府と隣接する京都、兵庫、奈良1府2県の一部)では全用途平均が9年ぶりに下落した。

とくに商業地は大阪・ミナミの中心部が大きく下落。コロナ禍で商業施設や宿泊施設を潤わせたインバウンド需要が消えた状況が長期化し、地価の下落傾向が強まった。

今回、影響は積極的な企業進出に支えられてきたキタ(大阪市北区の梅田、北新地を中心とする地区)にも及んだ。

大阪圏の商業地で最高価格をつけたJR大阪駅北側の商業施設「グランフロント大阪南館」の地点も、対前年変動率は昨年の8・8%上昇から4・7%下落に転じた。国土交通省はキタの下落傾向の背景を「休業要請や人流減少などにより店舗・ホテルの収益性が低下した」と分析する。

企業の〝キタ離れ〟も出ており、パナソニックはグランフロント大阪南館1、2階、地下1階に入居するショールームを来年2月までに順次閉館。

オフィスの需要は鈍化つつあり、オフィス仲介大手「三鬼商事」によると、梅田地区のオフィス平均空室率は今年8月が3・18%と前年同月比で1・17ポイント上昇した。同社は「テレワーク拡大や業績悪化でオフィスの規模を縮小する企業が出ている」としている。

これらの動きで人の流れがさらに停滞すれば、キタの地価が下押しされる可能性がある。跳ね返すことが期待されるのは、キタの大阪駅周辺で進む大規模な再開発だ。駅北側の再開発区域「うめきた2期」(大阪市北区)は6年の先行開業を目指し、西側の旧大阪中央郵便局跡地の再開発ビルも同年の完成を予定する。

不動産サービス大手ジョーンズ・ラング・ラサールの山口武リサーチディレクターは「大阪市中心部は都市としての魅力がなくなったわけではなく、感染収束後の戻りは大きいだろう」と予測。「経済回復の起爆剤となりうる大阪・関西万博というイベントがあるのもほかの都市にはない強みだ」と話した。(山本考志)