がん電話相談から

直腸がん切除後の抗がん剤治療は必須?

Q 70代男性です。今年3月に健康診断で便潜血が陽性となったため大腸カメラ、磁気共鳴画像装置(MRI)、コンピューター断層撮影(CT)による精密検査を受けました。その結果、直腸がんと診断されて7月に肛門から15センチの切除術を受けました。生検(病理検査)の結果、リンパに転移していることが分かり、ステージⅢbと診断されました。今後の治療法として、いずれも抗がん剤の「カペシタビン(商品名・ゼローダ)」の内服と「オキサリプラチン」の点滴を6カ月間行う化学療法を勧められましたが、抗がん剤治療は受けたくありません。必ず受けなければならないものですか。

A がんの根治切除術後にがんの再発を防ぐ目的で行われる補助化学療法としては、カペシタビンとオキサリプラチンの2つの抗がん剤を組み合わせる「カペオックス(ゼロックス)」療法が勧められています。どんな療法でも同じですが、絶対に必要というわけではなく、最終的に受けるかどうかは患者本人が判断すればよいことです。ただ、この療法はがん再発率を下げる効果が国内的にも世界的にも、いくつかの臨床研究により確かめられているので、受けることをお勧めします。

Q 再発率については20~30%といわれました。治療を受けている病院の内科と外科の2人の医師の間には再発率の見立てに大きな開きがあり、不安を感じています。

A 確かに10%もの開きは大きいのですが、どのデータを基準に考えるかなどの要素で、どうしても差は出てしまいます。今回のがんの進行度は日本の規約ではステージⅢaとなり、一般的に、何も治療をしなければ再発率は30%くらいと考えてください。

Q 抗がん剤で再発率をどれくらい下げられるものなのでしょうか。

A 補助化学療法を受けることによって、この再発率を5~8%ほど下げることができるととらえればよいでしょう。一般的にこれくらいの効果があれば、医学的にはお勧めするということになります。

Q 医師からはこの療法を6カ月間受けるよう勧められていますが、3カ月でもあまり効果は変わらないという話も聞きました。効果が同じなら3カ月で済ませたいです。

A しばらく前までは6カ月やった方がよいという結果が出ていましたが、最近では3カ月でもよいかもしれないという研究結果もあり、今回のケースでも3カ月で十分な効果が期待できるとは思います。3カ月と6カ月の効果の違いを数字で比較するのは困難です。また、再発リスクや治療による効果には個人差や、大腸の部位による違いもあります。直腸がんは大腸がんの中でも性質が悪いがんであるため、主治医が勧める通り、6カ月間受けてもよいとは思います。

Q 抗がん剤による副作用がとても心配です。

A オキサリプラチンの点滴は3カ月の間に4回、6カ月間受ければ8回となり、末(まっ)梢(しょう)神経障害、いわゆるしびれの副作用があります。ただ、いきなり出るわけではなく、4~5回目の点滴を受けた頃から現れてくることが多い。また、人によっては副作用が全く出ないこともあります。副作用の程度を見極めて治療を受ける期間を決めてもよいでしょう。

回答は、がん研有明病院消化器センター長・大腸外科部長の福長洋介医師が担当しました。

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