千葉県は21日、今年7月1日時点の県内の基準地価を公表した。それによると、平均変動率は住宅地が横ばいの0・0%で2年ぶりに下落を脱し、商業地は8年連続でプラスだったが、上げ幅は0・4%と昨年の1・4%から縮小した。昨年に引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大が県内の不動産価格に悪影響を及ぼしている。
県地価調査鑑定評価員の佐藤元彦代表幹事は、住宅地について「昨年後半ごろから不動産市場は持ち直し、横ばいまで戻してきた。特に中古住宅や中古マンション市場は件数も価格も上がっている」と指摘。一方、商業地は相次ぐ緊急事態宣言で経済活動が停滞し、上昇幅が縮小傾向にあると説明する。
このほかの平均変動率は、全用途平均が前年比0・1ポイント増のプラス0・2%、工業地が同0・1ポイント増のプラス2・5%だった。
県が継続調査している826地点(林地を除く)のうち、地価が上昇したのは269地点で、横ばいは284地点。下落は273地点で、昨年の340地点から大幅に減少した。上昇地点のうち259地点は東京圏で、地方圏との二極化が進んでいる。
住宅地の市区町村別変動率トップは、東京五輪でサーフィン競技の会場となった一宮町で、プラス2・6%。東京に近い浦安市がプラス2・4%、市川市がプラス2・1%で、これに続いた。
商業地の市区町村別変動率は、住宅地と同じく一宮町がトップでプラス7・3%。市川市がプラス4・1%で続き、つくばエクスプレス沿線を軸に人口増が続く流山市がプラス2・0%で3位となった。
商業地のワーストは近隣自治体への買い物客の流出や人口減が続く富津市でマイナス3・1%。地点別の価格(1平方メートル当たり)はJR千葉駅東口近くの「千葉市中央区富士見2丁目」とJR本八幡駅北口近くの「市川市八幡2丁目」が、192万円で共に首位となった。千葉市中央区富士見2丁目は5年連続で首位を維持した。
基準地価は都道府県が7月1日時点で調べた1平方メートル当たりの土地の価格で、県内59市区町村の計857地点が調査対象。国土交通省が毎年公表している1月1日時点の公示地価と合わせて土地取引や固定資産税、公共用地取得などの価格決定の目安となる。