漁港から15分 「空飛ぶカツオ」ドローン直送

釣れたてのカツオを、小型無人機「ドローン」で漁港からレストランに直送する実証実験を、通信大手ソフトバンクが、「ケンケン鰹(かつお)」のブランドで知られる産地、和歌山県すさみ町で実施した。スマートフォンで注文すると、〝空飛ぶカツオ〟は15分ほどで到着。早速刺し身にしてふるまわれ、抜群の鮮度に感嘆の声が上がった。実用化に向けては法整備などの課題もあるが、関係者は「漁業の流通スタイルが変わる」と期待を寄せる。

実証実験は、ドローン関連事業も手掛けるソフトバンクが、町などの協力を得て企画。カツオ漁船が戻る見老津(みろづ)漁港から東に約3キロ離れた道の駅「すさみ」のレストラン「すさみ夜市」へ、釣れたばかりのカツオの空輸を試みた。

まずはレストランがスマートフォンを使い、キャッシュレス決済で注文。受注した見老津漁港側では、漁師らが漁船から水揚げしたばかりの重さ約3・5キロのカツオを箱詰めし、ドローンに搭載して飛ばした。

ドローンは自動運行で、海岸沿いの高度70メートルのルートを時速30キロほどで飛行。無事、道の駅の敷地内の一角に到着した。カツオは早速レストランの料理人にさばかれ、刺し身として実証実験の参加者にふるまわれた。参加者は鮮度抜群のカツオに舌鼓を打った。

元漁師という岩田勉(つとむ)町長(72)も立ち会い、「こんなに新鮮なカツオは、漁師でもなかなか食べられない。観光客もびっくりするはず」と太鼓判を押した。

「足が早い」課題を解決

町は、太平洋に面した紀伊半島南端に位置。古くから、小型漁船のさおから釣り糸で擬餌(ぎじ)針をたらし、船を走らせ餌が泳いでいるようにみせてカツオを1匹ずつ釣りあげる「ケンケン漁」で知られる。

一般的な巻き網漁法などと比べてカツオに傷がつきいくいほか、釣り上げると直ちに活け締めして血抜きし、氷水で保存するため、鮮度は抜群。平成18年には「すさみケンケン鰹」として特許庁に地域団体商標として登録され、町がブランド化を進めている。

一方、カツオはもともと「足が速い」(鮮度が落ちやすい)とされ、流通面に課題があった。

同町では漁港は土曜が休みで、土曜に釣れたカツオは翌日以降の出荷になる。日曜には土曜と日曜の分が合わせてセリに出されるため、通常の半値以下になってしまうという。