プーチン氏が基盤誇示 露下院選で与党勝利

20日、モスクワ郊外で、中央選管トップとビデオ会談するプーチン大統領(ロイター=共同)
20日、モスクワ郊外で、中央選管トップとビデオ会談するプーチン大統領(ロイター=共同)

【モスクワ=小野田雄一】ロシアで20日、19日までの3日間に投票された下院選(定数450)の開票作業がほぼ終了し、プーチン政権の与党「統一ロシア」が定数の3分の2にあたる300議席以上を獲得して勝利する見通しとなった。プーチン大統領や統一ロシアの支持率低下が伝えられてきたが、プーチン氏が終盤に特定層への一時金支給などを発表し、てこ入れした。2024年の大統領選に向け、政権は強い支持基盤を誇示した形だ。

露下院選は225議席ずつが割り当てられた小選挙区と比例代表の並立制。中央選管によると、比例代表では統一ロシアが約50%を得票しており、小選挙区でも200議席前後を獲得する勢いだ。単独での憲法改正が可能となる計300議席を超えるが、現有の334議席からは減らすとみられる。

比例代表では統一ロシアに続き、共産党が19%、極右の自由民主党が7・5%、左派の公正ロシアが7・4%、新党「新しい人々」が5・4%を得票した。いずれも政権をおおむね支持する「体制内野党」だ。投票率は52%で、下院選史上で最低だった前回選(2016年)の48%からやや持ち直した。

昨年、ロシアでは24年の大統領選にプーチン氏が出馬することを可能にする憲法改正が成立した。プーチン氏は続投を明言しておらず、意中の後継者を指名して出馬させる可能性も残る。いずれにせよ、24年の大統領選に向けた国政の主導権を確保するため、プーチン氏には今回の下院選で支持基盤がいぜん強いことを示す必要があった。

経済低迷や長期政権への不満から、事前の世論調査では統一ロシアの支持率が20%台まで落ち込んでいた。政権側は選挙に先立ち、反体制派指導者のナワリヌイ氏を収監して支援組織も壊滅させたほか、統制の及びにくい独立系メディアやインターネットへの言論統制を強化。他方で年金生活者や子育て世代などを対象に1万ルーブル(約1万5千円)の支援金を支給するなど、なりふり構わない選挙対策を進めた。

14年のウクライナ南部クリミア半島の併合後、国民所得は7年連続で減少している。今年1月には、ナワリヌイ氏の拘束に抗議して行われたデモが全土に広がった。政権への不満がくすぶっている実情は今回の下院選を経ても変わっていない。

政権は国民の不満を「外敵」に向けさせる手法をいっそう強めている。今回の選挙戦でも、経済停滞の理由を「欧米が発展を妨害しているためだ」とし、強権統治は「欧米の干渉から国を守るためだ」と正当化する場面が目立った。この傾向は日本の北方領土交渉にも影響しそうだ。