英、独自外交の成果強調 オーカス創設、3月から協議

米英豪3カ国の新たな安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」創設をめぐり、バイデン米大統領(左)らとの記者会見にオンライン形式で臨むジョンソン英首相(AP)
米英豪3カ国の新たな安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」創設をめぐり、バイデン米大統領(左)らとの記者会見にオンライン形式で臨むジョンソン英首相(AP)

【ロンドン=板東和正】米英豪3カ国の新たな安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」創設について、ジョンソン英政権は欧州連合(EU)離脱後の独自外交が成果を挙げたものとして自信を深めている。英紙タイムズなどによると、英国は半年前に豪州から原子力潜水艦の技術提供を打診され、極秘裏に米豪の橋渡しを進めた。

EU離脱後のジョンソン政権は、EUにとらわれず世界各国と連携を強化する「グローバル・ブリテン」戦略を進めている。その第一歩としてインド太平洋地域で存在感を高めることを重視してきた。ジョンソン首相は16日、下院で「オーカスによる米豪との協力関係が(グローバル・ブリテンの)答えだ」と述べ、同戦略が成果をもたらしているとの認識を強調した。

タイムズなどによれば、次期潜水艦の開発と配備を目指す豪海軍が3月、英海軍トップを通じて原子力潜水艦の技術提供を英米に打診した。英政府はこの情報をコードネームを用いて厳重に管理。ジョンソン氏やウォレス国防相ら約10人のみが情報を共有し、豪州を交えた米国との交渉を進めた。

英国は6月に自国で開催した先進7カ国首脳会議(G7サミット)の期間中、バイデン米大統領と「ゲスト国」として招待したモリソン豪首相との3者会談を開催し、オーカスの詳細を協議。ジョンソン氏は技術提供にとどまらない安保枠組みの構築に貢献したとみられ、「英国は創設を陰で主導した」(英議員)と評価されている。

ただ、計画を発表直前まで知らされず、豪州との潜水艦共同開発計画を破棄されたフランスの反発は強い。英国でも、経済・軍事面で歴史的につながりが深いフランスとの関係悪化を懸念する声が少なくない。

アルゼンチンが英領フォークランドに侵攻した1982年のフォークランド紛争では、当時のミッテラン仏大統領がアルゼンチンの保有する仏製武器の弱点を英政府に伝えたとされる。軍事外交に詳しい元保守党議員、マシュー・パリス氏はタイムズに執筆した記事で同紛争に触れ、「フランスを冷遇したのは愚かな過ちだ」と指摘した。

報道によれば、仏政府は今週予定されていた英国との国防相会合を中止した。フランスは米豪両国から大使を召還したが、英国は対象とせず、「(英国は米国の)属国になった」(ボーヌ欧州問題担当相)などと批判していた。