乳児殺害後にスムージー注文 24日に判決、就活女子の罪と罰

羽田空港のトイレで出産直後の乳児を殺害、遺体を公園に埋めたとして逮捕、起訴された元女子大生の裁判員裁判の判決公判が24日、東京地裁で開かれる。「赤ちゃんに申し訳ない」。元女子大生は後悔の言葉を口にする一方、動機について「頭が真っ白になった」などと供述。検察側は「非常に強固な殺意があった」として懲役7年を求刑した。就活で上京中に起きた事件。元女子大生は奪われた小さな命とどう向き合っているのか。

現実に目背け

殺人と死体遺棄の罪に問われたのは神戸市西区の無職、北井小由里(さゆり)被告(24)。事件当時、兵庫県内の大学4年生で、航空業界やホテル業界への就職を希望し、たびたび上京して面接を受けていた。

冒頭陳述などによると、令和元年11月3日夕、就職活動のため神戸空港から飛行機で上京する途中、機内で陣痛が強まり、羽田空港に到着後、多目的トイレで女の子を出産。予定日より1カ月早かった。その場で乳児ののどにトイレットペーパーの塊を詰めた上、首を絞めて殺害した。出産から殺害まで、わずか40分間ほど。その後、東京都港区の公園に移動し同日夜、遺体を埋めた。

被告が身ごもったのは、接客業のアルバイトの客の子だった。同年7月には母親が妊娠を疑い、検査薬を購入し検査させた。陽性反応が出たが、被告は母親に「妊娠していない」と説明。その2カ月後には母親に説得され1人で産婦人科を受診、正式に妊娠が判明した。中絶可能な22週を過ぎていたが、再び「妊娠していない」と言い、その後も家族に真実を伝えることはなかった。

出産後カフェに

公判では、犯行当日の被告の詳しい様子も明らかになった。

出産直後、119番通報を考えたが、冷静な判断ができず、「すべきことの優先順位を理解できなかった」。乳児の遺体を紙袋に入れてトイレを出ると、「無意識に」空港内のカフェに入り、アップルパイとスムージーを注文。その後、宿泊予定のホテルにチェックインし、スマートフォンで検索して見つけた公園へ向かった。

「何てことしちゃったんだろう」。遺体を土の中に埋めた後、ようやく自らが犯したことの重大さに思い至った被告は、しばらく立ち尽くしたという。ただ、法廷で検察側から首を絞めた理由などを厳しく追及されると「頭が真っ白になった」「自分でもわからない」などと、あいまいな答えを繰り返し、裁判長から発言の矛盾を問いただされる場面もあった。

養子縁組検討も

公判で「(妊娠中に)赤ちゃんがおなかを蹴ることが幸せだった」などとも話した被告は、養子縁組の相談を受け付けるNPO法人に「大学生で収入がなく、就活中ということもあり余裕がない」と、メールを送ったこともあったという。だが、それ以上のやりとりはなく、出産に向けた準備を進めることはなかった。

検察側は「自分の将来を優先し、子供が邪魔になった」と指摘。「漫然と出産を迎えた無責任な態度が、最悪の結果を招いた」と断じた。これに対し弁護側は「アドバイスしてくれる人もなく、突発的に犯行に及んだ」と主張。執行猶予付きの判決を求めた。

「罪悪感でいっぱい」。被告は法廷でこう繰り返し、最終意見陳述で「自分のしたことに向き合い、家族と命の大切さについて話し合っていきたい」と、涙をぬぐいながら語った。裁判員は、その言葉をどう受け止めただろうか。(塔野岡剛)

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