主張

総裁選討論会 安全保障論を掘り下げよ

立候補者討論会に臨む(左から)河野太郎ワクチン担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行 =18日午後2時27分、東京都千代田区の日本記者クラブ(宮崎瑞穂撮影)
立候補者討論会に臨む(左から)河野太郎ワクチン担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行 =18日午後2時27分、東京都千代田区の日本記者クラブ(宮崎瑞穂撮影)

自民党総裁選で、日本記者クラブ主催の候補者討論会が開かれた。

語られるべき国政のテーマは多岐にわたる。ただ、そうだとしても、新型コロナウイルス禍と並んで、日本と世界を悩ませている中国問題の議論が深まらなかったのは残念だ。

菅義偉内閣の新型コロナ対策が批判された理由について、河野太郎ワクチン担当相と岸田文雄前政調会長が国民への説明不足を挙げた。

コロナ禍のような危機では、国民の協力を得るため、リーダーが説明責任を果たすことが重要だ。それは対中戦略、政策を展開していく場合も同じである。

中国は覇権主義的行動を強め、米国など自由と民主主義を重視する国々は、外交、軍事、経済安全保障の分野で、対中抑止を開始している。東西冷戦終結以来、およそ30年ぶりの国際情勢の大転換だ。安倍晋三前政権や菅政権はその努力に加わってきた。

総裁選の候補者はまず、日本が置かれた国際環境をどのようにとらえているのか見解を示し、対中抑止が必要であるなら、どのような政策を講ずるのか具体的に語らなければならない。

ところが、候補者相互の討論で中国問題を取り上げた候補はいなかった。

記者クラブ側からは台湾有事の質問が出た。高市早苗前総務相は「最悪に備えリスクを最小化するのが私の姿勢だ。台湾有事の可能性は高いと考えて備えなくてはならない」と語った。河野氏は「さまざまな攪乱(かくらん)が起きる可能性はあるだろう」と述べ、国際社会が協力して中国の行動を抑止すべきだとした。岸田氏は平和解決を目指すが、有事になれば安全保障関連法に基づき対応する考えを示した。野田聖子幹事長代行は日米同盟のもと、戦後の平和主義を踏まえ首脳外交を進めるとした。

その後、記者クラブ側は外相経験者を理由に岸田、河野両氏だけに日中の外交関係と対北朝鮮、韓国政策を続けて質問した。地理的に、中国と台湾の有事は、日本有事に直結する恐れがある。外交努力に加え、防衛政策は国政の焦点だ。高市氏は防衛費増額など具体的政策を持っているだけに、発言して議論を深める機会を与えられたらよかった。

各候補は、対中戦略や安全保障政策を語っていくべきである。