主張

自民総裁選告示 「日本の舵取り」力量競え コロナ禍克服への具体論を

菅義偉首相の後継を決める自民党総裁選が告示され、河野太郎ワクチン担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4人が立候補を届け出た。女性が複数出たのも、男女同数になったのも初めてだ。

投開票は29日で、国会議員票383票と、110万4000人の党員・党友による地方票383票の計766票を争う。事実上の首相選挙である。

新型コロナウイルス禍のため、候補者がそろって全国を回る地方遊説は行わない。候補者が国民と対話するオンライン方式の政策別討論会を、23日から4日にわたって実施する。

イメージ先行に陥るな

総裁選後には、臨時国会での首相指名選挙と新内閣発足、政権選択選挙の衆院選がある。

日本は難局に直面している。新型コロナの流行が続いている。覇権主義的な中国や核・ミサイル戦力の強化を続ける北朝鮮の脅威は増している。少子化も解決されていない。

7つある派閥のうち6つが事実上の自主投票だ。「選挙の顔」選びが政党にとって大切なのはもちろんだが、何よりも優先すべきは、難局の下で「日本丸」の舵(かじ)をしっかり取れる力量を備えたリーダーを見極め、票を投じることだ。自民の国会議員と党員・党友はその責任を自覚してほしい。

候補者や陣営が、当たり障りのない議論やイメージ先行のキャッチフレーズの連呼に陥るのならご免被りたい。総裁選のたびに党改革や党風刷新が唱えられてきた。だが、具体的に何をするのかを示さなければ空騒ぎである。

投開票日まで候補者は、具体的な政策と国家観を国民の前で堂々と披露し、競い合うべきだ。

新型コロナ対策は最大の課題である。17日の演説会で、4人の候補はコロナ対策に全力で取り組むことを誓った。

それは当然だが、4人は政府のこれまでの対応を総括した上で、今後のコロナ対策を語るべきである。それがなければ、菅内閣に向けられた国民の不信感はなくならないだろう。

人流の抑制、医療提供体制、検査、ワクチン・治療薬の開発と活用―のどこに足らざるところがあったのか。それらをどのように改め、コロナ禍を乗り越えていくつもりか。感染症から国民を守り抜く政策を聞きたい。

確かな安全保障は、平和と繁栄の基盤だ。それは相応の汗をかかなければ得られない。

北朝鮮は、国連安全保障理事会の決議を無視して核・ミサイル戦力の強化を続けている。日本人拉致被害者を返さない。

中国は軍拡を続け、力を背景に国際秩序に挑戦し、尖閣諸島(沖縄県)を奪おうとしている。国内では香港や、ウイグル民族など少数民族に弾圧を続けている。

皇位の男系継承を守れ

日本は、同盟国の米国や友好国と連携して中国や北朝鮮を抑止していく必要がある。経済関係は密接だが、中国が安全保障上の脅威であることは間違いない。その問題意識に欠ける政治家は首相にふさわしくない。外交努力に加え、防衛力充実や経済安全保障の強化が求められる。拉致被害者救出の強い決意も披露すべきだ。

候補者は、外交安全保障をめぐるグランドデザインとそれを実現する政策を語るときである。

脱炭素を進めるのに際して、現実的なエネルギー政策をいかに展開していくかが問われている。新増設を含めて、安全が確認された原発の稼働は欠かせない。責任ある議論を聞きたい。

アベノミクスを経てもなお低成長から抜け出せない日本経済を中長期的にいかに底上げするか。その具体策の論戦も期待される。

自民が国民政党を自任するなら、そのリーダーは安定した国家観を持つことが求められる。

皇位継承は国の基本に関わる。菅首相は今年1月掲載の本紙インタビューで「現状においては、男系男子の継承は最優先にすべきだ」と述べた。126代にわたって、一度の例外もなく男系(父系)継承を貫いてきた日本の皇統の大切さを語り、守る立場を明らかにしなければならない。

憲法改正は自民の党是で、今年6月に国民投票法の改正が実現した。総裁を目指す候補が、改正したい項目や実現のスケジュールを論じ合うのは当然である。