岸和田だんじり祭に人垣 「生活の一部」「感染心配」賛否交錯

観覧自粛をよびかける張り紙や目隠しのために設置された紅白幕の近くでだんじりの曳行を見るひとたち=18日午後2時28分、大阪府岸和田市(安元雄太撮影)
観覧自粛をよびかける張り紙や目隠しのために設置された紅白幕の近くでだんじりの曳行を見るひとたち=18日午後2時28分、大阪府岸和田市(安元雄太撮影)

新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令されるなか大阪府岸和田市で18日、「岸和田だんじり祭」が実施された。運営団体や市は観覧自粛を呼びかけていたが、沿道には大勢の見物客が詰めかけた。「感染が拡大しないか心配」「だんじりは生活の一部」。かけ声やお囃子(はやし)の音色が響く街で、感染防止と伝統継承をめぐる声が交錯した。

隠し幕の隙間から

18日午後、南海岸和田駅前の交差点で、「ソーリャ、ソーリャ」のかけ声とともに、だんじりが勢いをつけて曲がった。見せ場の「やりまわし」だ。通行人から見えないよう紅白幕が張られていたが、周辺には多くの見物客が集まった。花壇に上ったり、幕の隙間から様子をうかがったりして難なく観覧できるからだ。

「伝統の行事なので、開催しないわけにはいかないと思う。例年より観客は少ないし、大きな声を出していないので問題はないだろう」。岸和田市に隣接する同府貝塚市から訪れた男性会社員(34)は理解を示す。

この日、一部では人垣ができるほど見物客が押し寄せた。飲酒しながら観覧する人たちもいて、運営団体が意図した「無観客」にはほど遠い。買い物で訪れて観覧客の様子を見た岸和田市の女性会社員(37)は「結局マナーが守られていない。たくさん人が集まってしまい、今後クラスター(感染者集団)が発生しないか心配だ」と話した。

市内5町は曳行中止

岸和田だんじり祭は市内中心部の22町が参加し、各町がだんじりを曳行(えいこう)する行事だ。コロナの感染拡大で、昨年は終戦直後の昭和20年以来、75年ぶりに曳行が自粛された。今年も5町が曳行の自粛を決めた。

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