自民党総裁選 エネルギー政策も焦点 核燃料サイクルの将来は

日米原子力協定

加えて、核燃料サイクルの放棄は、外交問題にも発展し得る。それは、原発の運転や再処理によって生じる核兵器の原料、プルトニウムをめぐるものだ。

日本の保有量は平成27年末、約48トンにまで膨らんだ。韓国国防省は、核開発を進める北朝鮮のプルトニウム保有量を約50キロ(2016年国防白書)と推定するが、その1千倍近い膨大な量だ。

核燃料サイクルでは、プルトニウムとウランを混ぜた酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマルによって消費することを目指すが、計画は遅々として進まない。プルトニウムの積み上がりに、「アジアでの核拡散を招きかねない」(エドワード・マーキー米上院議員)など不信の声が上がりつつある。

日本は原子力の平和利用で、非核兵器保有国としては唯一、再処理などが認められる特権的地位にある。その最大の根拠は日米原子力協定だ。ただ、平成30年に自動延長された協定は日米いずれかの通告があれば6カ月後に終了できる。

プルトニウム問題を契機に、協定が失効するような事態を招けば「具体的にどうなるかは見通せないが、国内の原発の運転に何らかの影響があることは間違いない」(業界関係者)という。

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