中国への配慮、如実に 世銀の報告書で圧力 問われる独立性

米首都ワシントンにある世界銀行グループの本部(共同)
米首都ワシントンにある世界銀行グループの本部(共同)

【ワシントン=塩原永久】世界銀行が公表した内部調査で、過去の首脳陣が中国に配慮し、報告書の改変に関与した問題が指摘された。公正な調査や分析が求められる報告書の取りまとめを担当する部署に、中国を優位に扱うよう圧力をかけたとされ、国際機関の独立性への信頼に傷をつけたといえる。

米法律事務所による調査結果は、関係者への聞き取りやメールなどの記録をもとに、世銀の代表的な報告書「ビジネス環境の現状」で不正があったと断じた。

中国政府関係者が2017年秋にかけ、報告書をめぐり、当時のジム・ヨン・キム総裁やゲオルギエワ最高経営責任者側に働きかけた経緯を明らかにしている。これを受けて両首脳は、自ら、または側近を通じ、報告書で中国の順位を高く操作する評価手法の検討を担当部局に繰り返し求めた。

現在は国際通貨基金(IMF)で専務理事を務めるゲオルギエワ氏が当時、公表前の報告書を入手するため担当者の自宅にまで押しかけ、中国との「問題解決を手助け」してくれたことに謝意を示したとされ、如実な中国配慮が浮かぶ。また、報告書の担当部署が、首脳側近の報復を恐れる組織的な病理も指摘された。

中国への過度な配慮は世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルスへの初期対応でも問題視された。中国はハイテク部品の基準策定で重視される国際電気通信連合(ITU)をはじめ国連機関トップに人材を送り込んでいる。今回の問題は国際機関への中国影響力の高まりを如実に示しており、組織の独立性や公正な運営を担保する制度の必要性が問われそうだ。

ロイター通信によると、米財務省の報道官は、世銀の公表事実は「重要な調査結果だ」とコメントし、注視する意向を示した。

中国順位「引き上げ」圧力 世銀の事業環境報告書 内部調査、現IMF首脳が関与