美村里江のミゴコロ

「まっつぐ」まつげ

「やった!」と思わず声が出た。時代劇のゲスト役で声がかかり、これで今年は大河ドラマ、レギュラー出演の「大岡越前」とあわせ、3作の時代劇に出演できることが決まったのだ。撮影の手間も多く掛かる時代劇。年間これだけ出られるのは役者冥利(みょうり)に尽きる。

役柄についての詳細はまた別で書きたいと思うが、浮世絵にもなった著名な女性をモデルにした役で、衣装もメークも一風変わったものなので衣装合わせのときからワクワク。撮影はまだ先だが、当時の資料を探して読みあさり、台本を読んであれこれ想像する時間は、実際の撮影よりも楽しいかもしれない。

さて、そんな中でも「うーむ」と悩む点はあり、今回の場合は特に目元である。メークさんは色味の少ないキリリとした方向をご提案くださり、私もそれが役柄に合っていると感じた。しかし、疲れると三重まぶたになることもある私の二重は、今回のメークには少々邪魔に感じられるのだ。

薄めにロシアの血が入っているかも? という親戚間のおぼろげな噂があるのだが、和装すると日本人形に憧れる。切れ長の一重か奥二重なら、もっと鬘(かつら)も着物も優美に映えるだろう。

顔だけでなく、肩幅もしっかりで胸板も厚い方である。衣装さんの力で上手にごまかしていただいているが、これも和装向きとはいえない特徴だ。身長も167センチは大きすぎるため、昔の素晴らしい柄の着物も袖や裾の丈が足りず、諦めなければいけない(稽古着に使っている自前の浴衣も特注の丈である)。

とはいえ、簡単に変えられない部分は仕方ない。工夫でなんとかする。肩幅が広く見えない肩甲骨や首の配置を研究し、撮影上わからないときはやや膝を曲げて背を低くしておく。そして顔の方は、まつげのカーブを必ず抑える。

まつげの上がったぱっちり目より、伏せたときに影が出る目元が理想。自分の指をお湯であたため、小さなストレートアイロンの要領で挟み、真っすぐまつげを目指す。江戸弁で「まっつぐ、まっつぐ」と唱えつつ数十秒で完成。あとは昼時などにも抑え直し、なるべく直線的なまつげをキープする。

今回のメークでもマスカラではない透明な液体を薄く塗って抑え、さらなるまっつぐを目指すことにした。もちろん、外面以上に人物の内面を作るのが仕事。楽しみに準備を進めたいと思う。