河野氏「決選投票回避」に黄信号 野田氏出馬で

河野太郎ワクチン担当相=16日午前、東京都千代田区(佐藤徳昭撮影)
河野太郎ワクチン担当相=16日午前、東京都千代田区(佐藤徳昭撮影)

自民党総裁選(29日投開票)の告示前日となる16日に出馬表明した野田聖子幹事長代行は、土壇場まで立候補に必要な20人の推薦人確保に腐心した。支持を見込んでいた石破茂元幹事長に近い議員から協力を拒否されたが、他の陣営から支援を受ける動きが広がった。背景には、野田氏の出馬で票を分散させ、党員票で有利とみられる河野太郎ワクチン担当相の勢いにブレーキをかけたいという他陣営の思惑もありそうだ。

「一度くらいはスタートラインに立たせてあげたいのが本音だ」

別候補の陣営で役員を務める閣僚経験者は、こう打ち明ける。野田氏は過去3回の総裁選で出馬への意欲を見せたものの、無派閥の影響などで推薦人をまとまって集めることができず、いずれも断念してきた。

今回の総裁選では、推薦人として衆院初当選同期や地元岐阜県選出など野田氏と縁の深い議員だけでなく、独自候補を立てない二階派(志帥会、47人)や竹下派(平成研究会、52人)に所属する議員が目立つ。

野田氏の陣営は当初、石破氏が率いる石破派(水月会、17人)の取り込みを狙っていたが、石破氏は15日に自身の不出馬と河野氏への支持を表明した。水面下では側近らに野田陣営に流れないよう求めた。

ただ、党内では野田氏と親しい議員がいる二階、竹下両派だけでなく、総裁選に出馬表明している岸田文雄前政調会長の陣営でも、野田氏の支援を模索する動きが広がった。野田氏が出馬し、高市早苗前総務相と岸田氏、河野氏を交えた4人で争う構図となれば、総裁選の勝敗にも大きな影響を与えるからだ。

今回の総裁選は、国会議員票と党員・党友票をそれぞれ383票ずつ、合計766票で争われる。過半数を獲得した候補がいなければ、上位2人が国会議員票と47都道府県連に1票ずつの合計430票による決選投票で当選者を決める。

河野氏は自身の知名度と地方人気の高い石破氏の協力を武器に党員票を集め、初回の投票で過半数を得る戦略を描いていた。岸田氏や高市氏を支持する勢力は河野氏への忌避感が強く、決選投票となれば逆転される可能性があるからだ。

野田氏は選択的夫婦別姓に賛成するなど、河野氏と主張が近い傾向もある。「野田氏の出馬で、河野氏が一番割を食う」(閣僚経験者)との見方は強い。

高市氏も「女性初の首相」という目標が野田氏と重なるだけに、陣営では影響を慎重に分析している。(市岡豊大)

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