狭山茶の農業遺産認定、暗礁に 推進協が解散

狭山茶の農業遺産認定に向けて推進協議会が作製したポスター。認定の日を迎えることなく、協議会は解散に至った(埼玉県所沢市提供)
狭山茶の農業遺産認定に向けて推進協議会が作製したポスター。認定の日を迎えることなく、協議会は解散に至った(埼玉県所沢市提供)

日本三大銘茶の一つに数えられる埼玉県西部の特産品「狭山茶」の農業遺産認定構想が暗礁に乗り上げた。2回の落選という憂き目にあい、県内の自治体などで構成される協議会が、認定を目指す活動の継続は困難だと判断して解散を決めたのだ。地域の特産品のブランド化の難しさが改めて浮き彫りにされた形だ。

「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」―。こんなうたい文句で優れた品質が広く知られる狭山茶だが、世界の壁は高かった。

狭山茶は明治8年、輸出のために「狭山製茶会社」が設立されたのを機に名称が統一され、ブランドが確立した。さらなる振興を図るため、入間、所沢、狭山各市など埼玉県内11市町が業界団体などとともに設立したのが「狭山茶農業遺産推進協議会」だった。

農業遺産の認定制度には、国連食糧農業機関(FAO)の「世界農業遺産」と農林水産省の「日本農業遺産」があり、いずれも次世代に受け継ぐべき伝統的な農業や農村文化の保護を目的としている。

協議会は29年7月に発足し、30年と令和2年の計2回、2つの農業遺産の候補に名乗りを上げた。応募の具体的内容は、茶葉の生産から加工、販売までを生産者が一貫して手掛ける江戸時代以来の伝統的システム「自園・自製・自販」だった。

しかし、2回とも「1次審査落選」という厳しい結果を突きつけられた。審査ではシステムを評価する声はあったものの、「栽培方法が一体的に行われているという根拠がない」「申請地域が広大すぎる」「農法に独自性がない」といった指摘が相次いだという。協議会は3回目の認定申請に向け検討を進めたが、「指摘を覆すことは難しい」との結論に至り、今年8月6日付で会を解散した。

静岡県では、茶畑の周りの草地から草を刈り取って茶畑に敷く「茶草場農法」が世界農業遺産に認定されている。狭山茶の場合は、こうした「分かりやすさ」に欠けていたともいえそうだ。

今後は別の方法で狭山茶のPR策を模索していくといい、協議会の元幹部は「会に参加した自治体や業界団体で横のつながりはできた。今後も振興策を展開していきたい」と前を向いた。(中村智隆)