石清水八幡宮(京都府八幡市)で15日、天皇陛下の使いである勅使を迎える勅祭(ちょくさい)・石清水祭が営まれた。新型コロナウイルスの影響で昨年に引き続いて規模を縮小、参列者も約40人に限定して国と国民の平安を祈った。
式は本殿で執り行われ、田中恆清宮司が祝詞を読み上げた後、陛下からのお供物「御幣物(ごへいもつ)」を勅使一行から受け取り神前に奉納した。式後には麓にある放生池(ほうじょうち)にコイや金魚を放ち、無病息災を願った。
勅祭が執り行われるのは平安神宮(京都市左京区)や出雲大社(島根県)など全国で16社のみ。中でも古くからの作法に沿っているとして石清水祭は奈良・春日大社の春日祭、上賀茂神社(同市北区)と下鴨神社(同市左京区)の賀茂祭と「三大勅祭」に数えられる。
例年は、午前2時から約500人が祭神を乗せたみこしとともに練り歩き麓の頓宮(とんぐう)で儀式が営まれるが、中止となった。本殿での勅祭は860年の創建以降、終戦直後の昭和20年と昨年に続き3回目。田中宮司は「国民の平安と新型コロナウイルスの収束を願い執り行った」と話していた。(鈴木文也)