アーティスト守れ コロナ禍、文化庁が契約書ひな型づくり着手

文化庁が入る合同庁舎=千代田区霞が関(春名中撮影)
文化庁が入る合同庁舎=千代田区霞が関(春名中撮影)

文化芸術関係者の活動環境を整備しようと、文化庁は適正な契約書を交わすことなどを求める指針づくりに着手する。音楽家や芸術家などフリーで活動する芸術関係者は、新型コロナウイルス禍で活動が滞っても公的な給付金が受給できないケースが報告されており、同庁が17日、業界団体幹部や大学教授、弁護士といった有識者による検討会の初会合を開催。年度内に契約書のひな型などを盛り込んだ指針をまとめる。

文化庁によると、文化芸術関係者の労働環境をめぐっては、主にフリーで活動する人たちが受注した際、公演主催者などとの間で正式な契約書を交わさず、口頭やメールのやり取りなどで仕事を進めるケースが多いという。このためコロナ禍で大幅に仕事を失ったり減収になったりしても、正式な契約書がないために公的な給付金を受給することが困難なケースがあったという。

文化庁が昨年9、10月にインターネットで実施したアンケートでも不安定な関係者の現状が垣間見える。フリーで活動する約1万7千人の関係者に聞いたところ、契約時の状況について「文書のやり取りはなくメールのやり取りしかない」としたのは46・8%、「文書のやり取りはなく電話・対面での口頭でのやり取りしかない」は16・0%。6割以上が契約内容を正式に書面化していなかった。発注側との関係で「報酬未払いや一方的な減額があった」(6・6%)、「報酬が低すぎるなど不利な条件の受託を求められた」(13・3%)といった回答もあった。

コロナ禍により、文化芸術活動からの収入が「ほぼゼロになった」と回答したのは40・1%、「25%程度」が22・1%、「50%」が14・9%に上った。

これまで音楽家や芸術家、俳優といった表舞台に立つ側に注目が集まるケースが多かったが、文化庁は舞台設営や音響担当といった制作・技術スタッフなども文化芸術の担い手として、指針などでサポートしていく。