平成22年に自殺したトヨタ自動車の男性社員=当時(40)=の妻(50)=愛知県豊田市=が、労災を認めなかった豊田労働基準監督署の処分取り消しを国に求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は16日、上司によるパワーハラスメントや、業務とうつ病発症の因果関係を認定、請求を棄却した1審判決を取り消し、労災を認めた。
古久保正人裁判長は、男性が業務進捗の報告などをするたびに上司2人から大声で叱責されたことを、「社会通念に照らし、許容される範囲を超える精神的攻撃」と判断し、同様の行為が続き心理的負荷は強かったとしてパワハラを認めた。また、男性の業務が客観的にみて「精神障害を発病させる程度に強度のある心理的負荷を受けていた」と認定、「発病との間に因果関係があると認めるのが相当だ」と指摘した。
昨年7月の1審名古屋地裁は、男性が発症したうつ病について「業務との因果関係は認められない」として、請求を棄却していた。