〈独自〉陸上選手を性的目的で盗撮 迷防条例違反容疑で男を書類送検

京都市内で開かれた陸上大会に出場した女子選手(17)の下半身などを性的な目的で執拗(しつよう)に盗撮したとして、京都府警人身安全対策課などが府迷惑行為等防止条例違反(卑わいな言動)の疑いで、同市右京区の会社員の男(47)を書類送検したことが16日、捜査関係者への取材で分かった。「女性の尻に興味があった」と容疑を認めており、府警は検察に起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。

女子選手を性的な目的で撮影したり、盗撮画像を拡散したりする「アスリート盗撮」は社会問題化しており、これまでに警視庁や千葉県警が著作権法違反や名誉毀損(きそん)の容疑で摘発しているが、盗撮行為を取り締まる都道府県の迷惑防止条例での摘発は全国的にも珍しい。

捜査関係者によると、男は8月22日午前10時10分ごろ、右京区で開かれた陸上大会に出場していた高校2年の女子生徒を、競技場外から執拗に盗撮し、下半身が写った写真計34枚を撮影した疑いが持たれている。

大会は当時、新型コロナウイルス対策で関係者以外の入場を制限しており、男は競技場内の様子が見える開放されたゲート付近から盗撮。警戒していた警察官が男を職務質問したところ、カメラに女子選手の盗撮画像が確認されたため、任意で捜査を進めていた。

対策に限界 法整備急務

「アスリート盗撮」や盗撮画像の拡散被害は、会員制交流サイト(SNS)の普及に伴い深刻化しているが、対応には限界があり、摘発強化に向けた法整備を求める声も上がっている。

アスリート盗撮は、国内では昨年8月、日本陸上競技連盟に選手が相談したことで表面化。精神的苦痛から競技を諦める選手もおり、日本オリンピック委員会(JOC)などが「卑劣な行為」と非難した。

日本陸連や日本水泳連盟などはカメラの持ち込み規制や撮影の許可制を導入して対応するが、「スマートフォンの持ち込みまでは規制できず、どこまで防げているかは未知数だ」(日本水連)とする意見もあり、競技に集中できる環境づくりへの壁は高い。

さらに、性的目的であっても競技中の選手を撮影する行為を罪に問うのは難しい点がある。各自治体の迷惑防止条例は、衣服で隠された下着や体を撮影する行為を盗撮と想定。ユニホーム姿も規制対象となるかの判断は困難とされる。

法務省の性犯罪に関する刑事法検討会では、「盗撮罪」の創設が議論され、アスリート盗撮も処罰の対象行為に挙がったが、適法な行為との線引きは難しいとの意見もあった。

委員の一人で、性犯罪被害者支援に取り組む上谷さくら弁護士は、条例より処罰の重い刑法で取り締まれる法整備の必要性を訴えるとともに、「警察も各競技団体と連携して積極的に摘発する姿勢を示し、社会に盗撮を許さないという認識を広めるべきだ」と話す。(桑村大、鈴木文也)