滋賀県が違法捜査否定 再審無罪の元看護助手国賠訴訟

湖東記念病院(滋賀県東近江市)の患者死亡をめぐって滋賀県警に逮捕され、殺人罪で服役後、令和2年3月に再審無罪となった元看護助手、西山美香さん(41)が県と国に計約4300万円の損害賠償を求めた大津地裁の訴訟で、県側が、県警の捜査に違法性はないと反論する書面を地裁に提出したことが16日、分かった。原告側の弁護団が明らかにし、「(県は)原告が殺人犯であるとの姿勢を崩しておらず、強い憤りを覚える」とのコメントを出した。

書面で県側は、平成15年に患者を心肺停止状態に陥らせたのは西山さんだと主張。昨年3月に再審無罪判決を言い渡した大西直樹裁判長の「問われるべきは捜査手続きの在り方だ」とした説諭も「承服し難い」とした。また、警察官に対して西山さんが抱いた恋愛感情を県警が利用したとする西山さん側の主張は「不自然で強引な解釈だ」と反論している。

昨年3月の再審判決は、県警の取調官が、軽度の知的障害がある西山さんの特性や、自らへの恋愛感情を利用して虚偽の自白を誘導し、供述調書を作成したと認定した。

さらに、昨年6月の県議会本会議で、県警の滝沢依子本部長が「西山さんに大きな負担をかけ、大変申し訳なかった」と述べ、謝罪している。

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