金次郎像、私費で移設 栃木・足利の社長「貴重な遺産」 - 産経ニュース

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金次郎像、私費で移設 栃木・足利の社長「貴重な遺産」

修復され移築された二宮金次郎像と中島太郎さん=栃木県足利市
修復され移築された二宮金次郎像と中島太郎さん=栃木県足利市

栃木県足利市月谷町の北郷小学校旧月谷分校に長く設置され、10年前の東日本大震災で倒壊した二宮金次郎(尊徳)像について、同市の旅館社長、中島太郎さん(58)が地元の貴重な遺産として残そうと私費で修復し、旅館に隣接する社有地に移設した。今後、地域おこしのための拠点施設のシンボルとしても活用する考えだ。

薪を背負い、歩きながらも読書に励む二宮金次郎像は全国の小学校の校庭でおなじみで、同分校では昭和12年に正門脇の校庭に建立された。同市内で産出された御影石を使い、台座と金次郎像を合わせ高さ3メートル弱。平成8年の廃校後も残されていたが、23年の震災で倒壊し、両足首部分が折れるなどの損傷が出た。

郷土史の調査を長く手掛け、以前から地元周辺の金次郎像の歴史や金次郎像にまつわる怪談などを調べていた中島さん。震災直後、文化財などを点検する過程で、金次郎像が倒れていることに気付いた。「学びの歴史の教育遺産であり、大震災の記憶遺産。どうにか残せないか」と同分校OBらと対策を協議してきた。

地元では江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎と足利の関わりを紹介する展示施設の整備構想も進んでおり、中島さんはその活動の中心人物であることから、「シンボルとして活用しよう」と一念発起、私費20万円弱を投じることにした。今年初め、地域資源として保存活用することで同市教育委員会から譲り受け、石材店に依頼し修復、社有地への移設を進めてきた。

歩きながら本を読んでいる金次郎像は現在、歩きスマホを助長して危険との意見などもあって、撤去されるケースが目立っているという。中島さんは「二宮金次郎は優れた農政家であり思想家でもあり、もっと評価されてもいいと思う」と話している。(川岸等)