EU、台湾と関係強化へ 初のインド太平洋戦略発表

欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(ロイター)
欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(ロイター)

【パリ=三井美奈】欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は16日、EUで初めてとなるインド太平洋戦略の草案を発表した。中国が軍備増強を進める中、台湾海峡での緊張の高まりは「欧州の安全保障に直接的な影響を持つ」と明記。貿易や投資、データ保護の分野で、台湾と関係を深める意欲を示した。

ボレル氏は記者会見で、インド太平洋で米中の競合が高まっていると指摘。「平和と安定の確保は欧州の利益に直結する。われわれはパートナー国と協力し、関与を深める」と訴えた。EUは日本や韓国、オーストラリア、インドをパートナー国とみなしている。

草案では、戦略物資の貿易をめぐってサプライチェーン(供給網)の多極化を目指す方針を明記した。新型コロナウイルス禍で、マスクなど医療物資を中国に依存した反省が背景にある。特に、世界的な不足が顕在化する半導体では、日本や韓国に加え、台湾を「パートナー」と名指しした。データ管理をめぐっても、台湾では近代的な保護制度が整っているとして、連携に向けた対話に前向きな姿勢を示した。

一方、中国とも「多面的な関与」を探る方針を確認。昨年末、EUと中国が合意した投資協定についても「相互の利益になる」として、批准を目指す立場は不変だとしている。

EUのインド太平洋戦略には、米中対立の中、独自の外交を目指す狙いがある。EUは4月の外相会合で戦略策定に合意したが、この時の声明では、台湾への言及はなかった。