米英豪安保枠組み 対中で新パワーゲーム - 産経ニュース

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米英豪安保枠組み 対中で新パワーゲーム

バイデン米大統領=15日、ホワイトハウス(AP)
バイデン米大統領=15日、ホワイトハウス(AP)

バイデン米政権が米英豪3カ国による新たな安全保障の枠組みとなる「AUKUS(オーカス)」をこのタイミングで立ち上げたのは、アフガニスタン駐留米軍の撤収を受けて米国の外交・安全保障戦略の軸足を対中国に全面的に移し、民主的価値観を共有する欧州とオセアニアの同盟国と連携して権威主義体制の中国に対抗していく立場を打ち出す狙いがある。

一方、米国と対立関係にある中国やロシア、イランなどは上海協力機構(SCO)の枠組みなどを通じ、米軍の撤収でアフガンに生じた「力の空白」を埋めるため、中央アジアとアフガンでの影響力拡大と安定に向けて連携していく姿勢を示すなど、「ポスト・アフガン」の世界は新たなパワーゲームに向けた動きが一気に活発化してきた。

米英豪によるAUKUSの発表は、アフガン駐留米軍の撤収が円滑に終了していれば、バイデン政権のアジア重視を鮮明に打ち出す演出として、中国をより強く牽制(けんせい)する効果を発揮していたはずだった。

それでも、米英にとって「秘中の秘」である原潜技術を豪州に移転することは、空母と戦略原潜を軸に海軍力を着実に増強させる中国による西太平洋での覇権的行動の抑止に向け、大きな効果を期待できることに違いはない。

AUKUSは、第一次世界大戦以降の主要な戦争を共に勝ち抜いた3カ国の歴史的結束の強さを見せつけた。米国としては、日米豪印の4カ国(クアッド)や、日韓やタイ、フィリピンといった条約同盟国との2国間関係を含めた同盟・パートナー諸国の重層的なネットワークにAUKUSを組み込み、中国への圧力を強化させたい考えだ。

加えて、英国が事実上の対中安保の枠組みに参加したことは、フランスやドイツなど他の欧州諸国の目をインド太平洋に向けさせることにつながる。

欧州連合(EU)も、米国が「自由で開かれたインド太平洋」構想を本格化させたのに呼応し、中国の経済圏構想「一帯一路」に対抗するため、地域諸国とのインフラ投資連携を進めていく方針を表明。独自のインド太平洋戦略も策定する。

欧州はこれまで、中国との経済関係を維持したい思惑から中国への対応で慎重姿勢を示す国も少なくなかったが、対中国で友邦諸国に連携を呼びかけるバイデン政権の取り組みで潮目は変わったといえそうだ。(ワシントン 黒瀬悦成)