【社説検証】菅首相退陣表明 コロナ対策の失敗と各紙 産読は「五輪実現」を評価 - 産経ニュース

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社説検証

菅首相退陣表明 コロナ対策の失敗と各紙 産読は「五輪実現」を評価

菅義偉首相の自民党総裁選不出馬を伝える大型ビジョン=3日午後、大阪・梅田
菅義偉首相の自民党総裁選不出馬を伝える大型ビジョン=3日午後、大阪・梅田

菅義偉首相が自民党総裁選に立候補しない意向を表明した。わずか1年余りでの退陣となる。新型コロナウイルスの感染拡大の中、内閣支持率は下がり続け、9月中の衆院解散総選挙を模索したが党内の猛反発で断念、党役員人事もかなわず、行き詰まった。

「国難である新型コロナウイルス禍への対応をめぐり、国民の厳しい視線にさらされているだけにやむを得ない」(産経)。コロナ対策の失敗で退陣に追い込まれたというのが、各紙共通の見解だ。コロナ禍収束の兆しは今も見えない。産経は「コロナとの戦いを緩めてはならない」とし、菅首相や関係閣僚は「次の内閣発足までわき目もふらずコロナ対策に当たってほしい」とクギを刺した。

昨年8月、当時の安倍晋三首相が体調不良で辞意を示し、9月の総裁選で勝利した菅氏が政権を引き継いだ。「コロナ封じ込めと経済再生の両立を掲げ、高い内閣支持率を得て、順調なスタートを切ったかにみえた」(日経)「就任直後は、秋田の農家出身の『たたき上げ』というイメージが好感され、支持率は6割を超えた」(毎日)

ところが、コロナ対策で失態を繰り返すことになる。

「首相が就任した昨秋は、緊急事態宣言なしでコロナの第2波を乗り切った後だった。本来なら、第3波が想定された冬に向け、医療や検査体制の充実など、備えを厚くしておくべきだったが、経済活動の再開に軸足を置く首相は『Go To トラベル』の継続にこだわり、感染防止策は後手に回った」(朝日)

「積年のデジタル対応の遅れもあって、経済的に困っている人への支援もなかなか行き渡らない。楽観的な見通しのもとで政策判断を誤った結果、緊急事態宣言の解除と発令を繰り返すことになり、その後の支持率は低迷した」(日経)

「新型コロナのワクチン接種を主導したが、米国や欧州各国よりも調達と接種開始が遅れ、デルタ株登場に間に合わなかった。医療提供体制の崩壊も招くなどコロナ対応は評価されなかった」(産経)

菅首相の失敗の理由として挙げられたのが、感染状況の見通しやそれぞれの施策の効果などについての説明不足、外出自粛などで理解を求める際の熱意不足だ。

日経は「危機にあって、指導者に求められる重要な資質のひとつが国民とのコミュニケーション能力だ。とりわけ、他国が採用するロックダウン(都市封鎖)のような強力な手法をとらない日本では、人流抑制などへの国民の理解と協力が不可欠である。残念ながら、首相と国民との間には、この信頼関係が成り立っていなかったと言わざるを得ない」と説いた。

菅政権全般への評価として、朝日や毎日、東京が、日本学術会議の会員候補6人の任命拒否にも言及し、説明責任を軽んじた、国会論戦から逃げた、などと批判を展開した。これに対し、産経と読売は、肯定的側面にも注目し、業績の一つとして、東京五輪・パラリンピック開催を後押しし、無事やりきったことを挙げた。

読売は「大部分が無観客となったものの、大きな集団感染を発生させることなく、5日にはパラリンピックも閉会を迎える。国際社会に対して、開催国としての責任を果たすことができたのは、首相の功績でもあろう」と説いた。産経は「五輪やパラ大会が内外から高い評価を得たことは指摘しておきたい」とし、7日付で改めて「菅氏の名は、東京五輪・パラリンピックを成功させた首相として記憶されるだろう」と強調した。

総裁選は17日告示、29日に投開票が行われる。第一党の党首選びは、次の首相候補を決める選挙となる。コロナ対策にとどまることなく、覇権主義的傾向を強める中国にいかに対処するかなど、日本が直面する課題について幅広く、活発な議論を求めたい。(内畠嗣雅)

■菅義偉首相の退陣表明をめぐる主な社説

【産経】

・長期担うリーダーを選べ/菅内閣はコロナに専念せよ

【朝日】

・対コロナ 国民の信失った末に

【毎日】

・独善と楽観が招いた末路

【読売】

・コロナ克服に強力な体制作れ/政治への信頼回復が不可欠だ

【日経】

・危機下で指導力発揮できる体制を

【東京】

・国民と向き合わぬ末に(いずれも9月4日付)